研究課題/領域番号 |
22K03431
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
和田 達明 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (00240549)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 情報幾何 / 変形指数型分布 / エスコート分布 / 熱統計学 / 勾配流方程式 / 幾何光学 / 統計多様体 |
研究開始時の研究の概要 |
機械学習、パラメータ推定、統計学などの分野において発展してきた情報幾何学は、主として指数型の確率分布モデルから構成された統計多様体へアフィン微分幾何の手法を適用する強力な枠組みであるが、近年、変形指数型の確率分布に対する情報幾何構造が研究されてきている。 本研究は、申請者等のこれまでの研究で明らかになった熱力学と情報幾何学との対応関係、および変形指数型分布の情報幾何構造に基づき、、特に変形指数型確率分布に伴うエスコート期待値に焦点を当てて、変形指数型分布の熱力学や統計力学に関する物理現象からみた情報幾何構造を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、熱力学や統計力学における変形指数型分布に関する物理現象の視点から従来の情報幾何学を再考し、特にエスコート期待値に焦点をあてて、変形指数型分布の情報幾何構造を明らかにすることを主目的とする。一般に、変形指数型分布のエスコート分布は元の変形指数型分布とは異なるので、従来の情報幾何学における通常の期待値に替わって、変形指数型分布の情報幾何ではエスコート期待値が重要となる。 本年度は、2023年7月にギリシャで開催された統計力学に関する国際会議(ΣΦ2023)にて、情報幾何学における勾配流方程式についての幾何光学の観点からの研究成果と、q-指数型分布などの変形関数を利用した非線型構成関係式の構成法に関する研究成果について招待講演を行った。 昨年度までの成果である「変形関数を利用して非線型な構成関係式を構成する方法」や「幾何光学との対応に基づく情報幾何学における勾配流方程式の研究(IJGMMP論文)」などを踏まえて、幾何光学におけるアイコナールや解析力学における作用関数と、情報幾何学におけるポテンシャル関数との対応関係を明確にできた。 また、上記の幾何光学と情報幾何学における勾配流方程式との関係を調べた研究成果を発展させ、インドのS. Chanda氏との共同研究により解析力学の観点から情報幾何における勾配流方程式を調べ、Randers-Finsler計量に対する測地線方程式と関連づけられることを示し、また宇宙論へ適用して勾配流方程式によりブラックホールのダイナミクスを記述した(IJGMMP論文)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常の指数型分布の情報幾何における勾配流方程式を、q-変形指数型分布の場合に拡張する目途が漸くついたが、付随するエスコート分布に関する情報幾何構造等については未だ明らかにできていないため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに見出した成果である「変形関数を利用した非線型構成関係式の構成法」、「幾何光学におけるアイコナールや解析力学における作用関数と、情報幾何学におけるポテンシャル関数との対応関係」を利用して、変形指数型分布に付随するエスコート期待値の情報幾何構造への影響を調べていく。また、情報幾何学における勾配流方程式と宇宙論などの他分野との関連が分かったので、一般相対論に関する観点からも情報幾何構造を調べていく。 本研究課題は、変形指数型分布の熱力学・統計力学などの物理現象からみた情報幾何学構造を探る両分野に関わる研究であり、様々な関連する分野の専門家との議論が研究を遂行する上で非常に重要である。 昨年度と同様に、国際共同研究を続けてきた、変形指数型確率分布の一つであるκ-指数型分布の提案者であるイタリアのトリノ工科大学のKaniadakis教授とScarfone博士との直接の議論を通じて、研究を進展していく予定である。
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