研究課題/領域番号 |
22K03434
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大木谷 耕司 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (70211787)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 非圧縮性流体 / 可積分系 / 対流項の役割 / 自己相似解 / 非圧縮性流体力学 / Navier-Stokes方程式 / Burgers方程式 / 熱方程式 / 擬可積分系 |
研究開始時の研究の概要 |
一般化された非圧縮性流体力学の方程式を提案し、それらの性質を理論的、数値解析的に解明する事が本研究の目的である。従来、流体力学に関する数学解析的な研究は、非線型偏微分方程式の解の存在、一意性の研究に重きを置いてきた。とりわけ非圧縮性流体ではこの傾向が強い。一方、圧縮性流体のモデルには、Burgers方程式など、解の表現が明示的に得られる可積分系がある。本研究では、(i) Navier-Stokes方程式と Burgers方程式とを「補間」する方法を提案し、(ii) 両者の中間に現れる方程式の解の性質を調べる。(iii) さらに、後者から前者の解の表現を近似的に構成することを試みる。
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研究実績の概要 |
2次元Burgers方程式とNavier-Stokes方程式を補間する一般化流体方程式を提案した。その数値計算のためのコードを作成し、数値実験を実行した。多次元Burgers 方程式は、 Cole-Hopf 変換により。熱方程式に帰着できるという意味で線型化出来て可積分である。他方、 Navier-Stokes 方程式には、そのような性質はなく、可積分ではないと考えられている。
2次元流の場合、Navier-Stokes 方程式の移流項の速度勾配を90度回転させると、 Burgers 方程式と等価な系が得られる。そこで、回転角を導入し、それを連続的に変化させることによって、一般化された非圧縮性流体力学を考えた。こうして、可積分系とそうではない系の性質を、連続パラメターによって接続し比較することができる。いろいろな角度に対して、直接数値計算を行い、角度に依って流れの性質が如何に変わるかを検討した。ノルムで見る限り、角度が小さい程も正則性がよくない事がわかった。特に、回転角0の場合のBurgers方程式の場合が可積分であることに注意する。
3次元流に対しては以下のことを行った。ベクトルポテンシャルを用いて、支配方程式を書き下す事により3次元流体方程式についても同様な一般化を定式化した。時間に依存する解をスケールすることで、3次元Navier-Stokes 方程式の自己相似解のプロファイルを数値的に決定することに成功した。また、自己相似プロファイルを用いて、その局在化極限で流れの素過程を表現する可能性を探っている。さらに、局在した渦の常微分方程式系を得ることに取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一般化流体方程式に関連する問題として、3次元 Navier-Stokes 方程式の自己相似解のプロファイルを数値計算によって初めて決定した。これは、可積分系と非可積分系を関連付ける1つのアプローチであり、その意義を詳細に検討する価値がある。
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今後の研究の推進方策 |
2次元の一般化流体方程式の数値計算結果を基に、可積分であるBurgers 方程式の解を用いて、Navier-Stokes 方程式の近似解を摂動論的に構成することを試みる。3次元の一般化流体方程式の数値計算のためのコードを構築し、それらの数値実験を実行する。
3次元Navier-Stokes 方程式の自己相似解のプロファイルを決定できた事を受け、それを熱方程式の解と比較することで、非可積分系である3次元Navier-Stokes 方程式の解を近似的に構成する方法を探索する。
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