研究課題/領域番号 |
22K03447
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
是常 隆 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90391953)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 有効模型 / 第一原理計算 / 対称性 / 物質探索 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,第一原理計算を用いて得られる物質に対する有効模型のデータベースを主軸に用いて,様々な物理量の理論データベースを構築し,それに基づいた機能性物質の探索および設計を行う。特に,有効模型データベースから物理量のデータベースを構築するための技術開発,対象とする物質の範囲を広げるための技術開発を行うことによって,これまで探索されてこなかった領域の探索を行う。また,得られたデータの解析から,物理量と有効模型,結晶構造などの関連性を議論し,物質設計の指針構築も目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は,まず,対称性を用いた有効模型構築手法を確立し,それをデータベース構築に適用した。具体的には,有効模型を構築する際に必要となる計算を対称性を用いて高速化し,さらに得られるデータも対称性を用いて圧縮することにより,これまでよりはるかに多くの物質を計算可能とした。現在この手法により有効模型データベース構築を進めており,既にこれまでの倍以上のデータの生成蓄積を行っている。また,得られる有効模型にも対称性の制限をかけることで,対称性を保ったまま有効模型を構築する技術を確立した。同様の手法はこれまでにも提案されていたが,新しい手法では,フェルミ準位近傍のバンドは必ず再現するような制限を同時にかけることが可能なため,フェルミ準位近傍の電子状態を再現する対称性を保った模型を汎用的に作ることが可能となった。これは,トポロジカル物質探査などにおける対称性の解析で有益に働くほか,様々な物理量の計算に対称性を用いた高速化を行う上でも重要となる。これらの成果は論文として出版したほか,github上でコードを公開しており,現在Wannier90への取り込みにむけて調整を進めているところである。 また,有効模型をベースに久保公式を用いて輸送係数などの物理量を計算する手法の開発も進めている。特に,虚時間方向のデータ圧縮を利用することで様々な計算を高速化するとともに,電気伝導度などの解析接続の方法についても検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対称性を用いた有効模型構築手法の確立に成功しており,有効模型のデータベースも着実に拡充を進めている。 また,有効模型をベースに様々な物理量を計算するコードの整備も進んでおり,虚時間方向のデータ圧縮の活用や解析接続の手法についても順調に検証が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
有効模型データベースの拡充を続けるとともに,そのデータの検証方法についても改善を進めていく。また,このデータベースを用いて様々な物理量を計算することで,物質探索を進めていく。物理量の計算としては,前年度に引き続き久保公式に基づく手法の開発を進めていく。特にコヒーレントポテンシャル近似や動的平均場近似を融合していくことで,混晶系や強相関系への拡張も視野にいれていく。 対称性を用いた有効模型構築手法については,現在最も幅広く利用されているWannier90というコードに取り込むため,Wannier90の主要な開発者らとも連携してコード整備を進めていく。
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