研究課題/領域番号 |
22K03455
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 正 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30391999)
|
研究分担者 |
押山 広樹 東北大学, 情報科学研究科, 特任助教 (00882284)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 開放量子多体系 / 非平衡状態 / テンソルネットワーク / 量子アニーリング / 多体局在 |
研究開始時の研究の概要 |
量子計算機や量子実験機の開発が加速している。これらの装置に埋め込まれた量子力学系は、環境と相互作用する開放系であり、系の動きに対する環境の影響を模型を用いて明らかにすることが重要となっている。研究代表者たちは、ボソンの熱浴環境と結合した量子ビット(スピン)系に対する最先端の数値計算手法を用いて、熱浴が量子アニーリングを助ける場合があることを明らかにし、熱浴環境がもたらす量子多体系の非自明かつ普遍的な非平衡状態を探究する。
|
研究実績の概要 |
本プロジェクトは、量子計算機の一種である量子アニーラーに埋め込まれた超伝導磁束量子ビット系を念頭に置き、ボソンの熱浴と結合した量子スピン系の実時間発展をテンソルネットワークによる数値計算で調べ、熱浴環境がもたらす新たな非平衡状態を見出すことを目的としている。 当該年度は環境が量子アニーリングを助けるパラメターを探すことを目標としていたが、数値計算の限界もあり、達成できていない。かわりに、より簡単な1量子ビットの研究に焦点を移した。現実の超伝導磁束量子ビットには1/fノイズが存在し、それを含めた計算は限られた状況しか行われてこなかった。研究代表者は当該年度の6月に参加した国際会議で1量子ビットの実験が理論的・数値的に説明できていないことを知り、テンソルネットワークの方法で1/fノイズとOhm型ノイズが混ざった熱浴と結合した1量子ビットを調べることにした。1量ビットとはいえテンソルネットワークの方法を1/fノイズがある場合に適用することは容易ではない。これまでに実験に対応するパラメターに対する計算はできていないが、結果の確かさを検証しながら、実験に近い状況における計算を進めている。 なお、当該年度には、本プロジェクトが開始する前から行っていた関連する研究の成果が論文として4本出版された。そのうち3本はテンソルネットワークによる数値計算を用いたものであり、1本は量子アニーリングに関するレヴューである。いずれも本プロジェクトと密接に関係しているため、本プロジェクトの実績とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
熱浴が量子アニーリングを助ける状況を特定することを目標にしていたが、テンソルネットワーク法の限界により、特定に至らなかった。この目標達成が困難であることがわかったことは一つの進歩と言える。ところで、予期せず、1/fノイズを含む熱浴と結合した1量子ビットの量子アニーリングの研究に注目することとなり、その研究が進展した。本プロジェクトで使用するテンソルネットワークの方法は非常に新しく、その適用範囲がよくわかっていない。1/fノイズがある場合にどの程度適用できるかについて、ある程度わかったことが当該年度のもう一つの進展である。
|
今後の研究の推進方策 |
熱浴環境が量子アニーリングを助ける状況については、何らかの新しい切り口を見出さないと特定が難しいことがわかった。そのため、次年度は1/fノイズを含む熱浴と結合した1量子ビットの量子アニーリングに注力する。まず、理論的によくわかっている、パラメターが時間変化しない場合の巨視的共鳴トンネリングをテンソルネットワークの方法で検証する。次に、1量子ビットの量子アニーリングをテンソルネットワークの方法で数値計算する。1量子ビットの数値計算は1時間程度の時間で終わるため、次年度の前半で計算を終わらせ、後半で結果を論文にまとめる。 3年目以降は多体局在系の研究に取り組む。
|