研究課題/領域番号 |
22K03457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
河原林 透 東邦大学, 理学部, 教授 (90251488)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | トポロジカル状態 / カイラル対称性 / エッジ状態 / トポロジカル相 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、トポロジカル相の表面に現れるトポロジカル量子状態を、対称性を拡張することにより自由に制御、デザインする新しい手法を理論的に解明するとともに、実験系における具体的な制御手法を提案することを目指している。特に、カイラル対称性の拡張と、質量項による対称性の破れを用いて、トポロジカル表面状態がどのように制御可能であるのかについて、精密な数値計算に基づき定量的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、対称性の拡張を利用したトポロジカル量子状態の新たな制御方法の確立を目指している。特に、高次元系やスピン自由度などの内部自由度を持った系への具体的な拡張を通して、光格子上の冷却原始系など、新たな実験系での実現性の高いシステムの提案を行うことを目標としている。 本年度は、まず、高次元系への拡張として、グラフェンの模型としてよく用いられる2次元蜂の巣格子模型のジグザグ端に現れるエッジ状態の拡張を行い、対称性の破れを制御することにより、エッジ状態の性質をどのように制御可能なのかを明らかにした。具体的には、ジグザク端のエッジ状態の局在長は、対称性を破る質量項の大きさがある特定の臨界値に達すると、エッジに沿った方向の平面波解の波数に無関係に発散することなどを示すことができた。また、グラフェンナノリボンように、幅が有限の系においても、反対側のエッジの構造を工夫することにより、トポロジカルなエッジ状態を厳密な固有状態として実現できることも示すことができた。そうした系では、質量項の値が臨界値を超えると、エッジ状態が反対側のエッジに局在するようになるが、そうした点についても具体的な数値計算に基づき確認することができた。 こうした成果は、低温に関する国際会議(the 29th International Conference on Low Temperature Physics)で発表するとともに、会議のプロシーディングスとして、国際学術雑誌(JPS Conference Proceedings)に掲載が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次元への拡張の1例として、2次元蜂の巣格子におけるエッジ状態の拡張と制御の可能性を明らかにすることができた。また、その成果を国際会議で発表するとともに、会議のプロシーディングスではあるが、原著論文としてまとめ、国際学術雑誌(JPS Conference Proceedings)に掲載が決定した。こうした結果は、3次元以上の系や内部自由度を持つ系への拡張に有益な情報を含んでおり、更なる進展が見込まれるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、スピン自由度のような、内部自由度を利用したエッジ状態の拡張を行い、その制御性を明らかにし、従来よりも制御しやすいシステムの提案に繋げたいと考えている。
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