研究課題/領域番号 |
22K03488
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
落合 哲行 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 電子・光機能材料研究センター, 主幹研究員 (80399386)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 光起電力 / パラメトリック下方変換 / BIC / 非局所応答 / 光整流 / 非線形光学 / 非エルミート / S行列 / 金属ナノ構造 / 流体力学 / 第2高調波発生 |
研究開始時の研究の概要 |
金属ナノ構造において、電子の流体力学描像により非局所応答を取り込んだ、2次の非線形光学効果の精密解析をおこなう。特に光整流とパラメトリック下方変換におけるプラズモン共鳴増強効果を明らかにする。本研究では既存のMaxwell ソルバーを縦波を含むように拡張し、流体力学描像と融合することで、未解明の部分が多い光整流効果などのメカニズムを明らかにし、超高速の光検出、高効率の光子対生成などへの応用へとつなげる。
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研究実績の概要 |
本研究課題ではバルク光起電力の母体としてあまり考慮されてきていない金属ナノ構造に焦点をあてその機構の解明を目指している。昨年度にトラップされた問題は根本的な解決に至らなかった。しかし光起電力については実験グループと共同で 1) 従前の理論では見過ごされてきた有限サイズ効果の重要性の認識、2)同じく有限サイズ効果が対称性に敏感な横方向起電力を生む、の2点を明らかにした。
もうひとつの重要課題であるパラメトリック下方変換に関しては大きな進展があった。金属に限らず対象を幅広くとるため、薄膜型フォトニックナノ構造を仮定し、母体物質に chi2 があるとしたときに、パラメトリック下方変換がどうなるかについて考察した。通常、パラメトリック下方変換は変換効率が低いため、位相整合させて光路長をかせぐことで効率を上げている。それには一般的に複屈折が必要になる。しかし薄膜構造では膜厚方向に光を強く閉じ込めることで、位相整合なしに効率を上げることができる。この場合、GaAs などchi2 は大きいが、複屈折はないために非線形光学材料とはみなされない物質群が利用できる。その際、chi2 の対称性と薄膜の対称性によって、ポンプ光の偏光によってもつれ光子対を操作できることを示した。またモデルとして球配列系の薄膜を考え、上記のシナリオを数値計算において確かめた。
またナノ構造、ナノ薄膜での非線形光学を考える場合、固有モードのQ値を上げることが重要になる。これに関して無限大のQ値をもつ、 bound states in the conntinum (BICs) とよばれる状態を多重生成する1つのレシピを与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目論見であった流体力学的現象論による記述は、技術的に困難な点が生じ、その解決に至らなかったが、実験主導により有限サイズ効果が本質的な面白い現象を明らかにした。また、もう一つの重要課題であるパラメトリック下方変換と派生的なトピックであるBICに関して進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、金属に限らずナノ構造、ナノ薄膜での非線形光学応答とその応用を幅広く探索する。またBICモードのレシピを与えることができたため、今後はその効果的な利用法を考える。
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