研究課題/領域番号 |
22K03494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
越野 和樹 東京医科歯科大学, 教養部, 准教授 (90332311)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 量子光学 / 超伝導回路QED / 量子制御 / 量子計算 / 量子エレクトロニクス / 応用光学・量子光工学 / 量子コンピュータ |
研究開始時の研究の概要 |
超放射は光子場を介しておこる多原子間の量子協力現象である.その発現条件は,原子の共鳴波長よりも遥かに狭い領域に多数の励起原子を集めることであるが,一般にはそれは難しい.しかし,導波路量子電気力学系(一次元光学系)ではその条件は大きく緩和され,共鳴波長で周期的に並ぶ原子系でも超放射がおこり得る.本研究では,そのような周期的励起原子群の超放射・誘導放出ダイナミクスを理論的に解明し,量子デバイスへの応用を図る.
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研究実績の概要 |
一次元光子場に単一あるいは複数の原子が結合している系を「導波路量子電気力学系」と呼ぶ.この系には(i)(原子励起のために)導波路から入射する光子と原子からの輻射との空間モードが一致しており,そのために両者が強く干渉し,光子-原子相互作用が自由空間の場合と比較して劇的に増強される,(ii)導波路中の伝播光子を介して,複数の原子間に長距離型の交換相互作用が生じる,という特徴がある. 本年度は,単一の導波路にN個の励起原子が結合している状況において,導波路から原子群に古典光子パルス(コヒーレント状態)を照射した際に引き起こされる,原子群の誘導放出を理論解析した.短パルス極限(入射πパルスが個々の原子の寿命よりも十分に短い極限)において,誘導放出の解析解を得ることができる.短パルス極限では(i)すべての原子がπパルスの透過方向に光子を放出する,(ii)透過パルスは「光子付加コヒーレント状態」のような非古典的状態ではなく,平均光子数は増加するもののコヒーレント状態に保たれる,(iii)入射パルスは位相に依存せず均一に増幅され,また量子ノイズは位相空間においてほぼ位相方向のみに付加される,という新奇な特性を持つことが判明した.これらの特性によって,短パルス極限においては,増幅後の信号雑音比(SN比)が改善される.通常の位相鈍感な線形増幅器では,増幅により信号雑音比は一般に劣化するため,本現象は超放射原子による増幅に特有の現象ということができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主目的は一次元光子場に結合した励起原子群の挙動を理解し量子デバイスへの応用を探ることであるが,その最も簡単な状況である,全ての原子が光子場の同一位置に結合した場合について解析解を得て,理解を深めることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
超伝導回路QED系(超伝導量子ビットや導波路によって実現される導波路QED系)においては,導波路を分岐したり境界条件をその場制御することが可能であり,より複雑な形状の導波路・共振器を実現することができる.これらに複数の(人工)原子が結合した状況において,新奇現象発現の可能性を探る.
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