研究課題/領域番号 |
22K03509
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 康之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (50708534)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 量子磁性体 / 金属磁性体 / トポロジカル磁性 / 量子スピン系 / スピン波理論 |
研究開始時の研究の概要 |
磁性体の準粒子マグノンを利用した量子技術の提案・実証例が多く報告されています.本研究ではそうした量子技術への応用を見据えた良い制御性を持つマグノンの実現の指針を与えることを目指します.良い制御性のためには寿命が長く,マグノン同士の相関効果が外部磁場等で調節可能で,伝導電子と結合するといった性質を併せ持っていることが望まれます.どのような物質でこれらが実現可能かという問に,数値計算を用いた理論的なアプローチによって答えていきます.
|
研究実績の概要 |
本年度,磁性体に関する研究成果を4報の論文を出版しました.その内容は,(1)2次元量子スピン系YbCl3におけるスピン励起の実験と理論の共同研究(2)カイラリティーを有する反強磁性体Sr(TiO)Cu4(PO4)4の広域相図に関する実験と理論の共同研究(3)カゴメ格子Coシャンダイトの薄膜における磁性および輸送現象の理論的研究(4)金属磁性体の磁気バブル格子の安定性に関する理論的研究です.(1,2)は磁性絶縁体に関する研究です.(1)では量子モンテカルロシミュレーションを用いた解析によりYbCl3の模型パラメータを見積り,中性子散乱実験で得られたスピン励起の解析によってその量子効果を明らかにしています.(2)では電気磁気活性な量子磁性体Sr(TiO)Cu4(PO4)4の理論模型の解析を行い,超音波および磁気熱量効果の実験結果の説明に成功しました.また,その結果,広域の温度磁場相図と各相の同定も行なっています.(3,4)は磁性半導体・金属に関する研究です.(3)では,極薄膜のCoシャンダイトの第一原理計算に基づく有効模型構築と,その解析による磁性と輸送現象の膜厚依存性の予言をしています.(4)では金属磁性体のスピン模型に対して,申請後に出版した文献[Y. Kato and Y. Motome, Phys. Rev. B 105, 174413 (2022)]で開発した適用範囲の広い手法を実装し,数値厳密な広域の温度磁場相図の作成と磁気バブル格子の安定性を明らかにしました.また,キタエフスピン液体におけるマヨラナ準粒子を介したスピンゼーベック効果の理論的研究は出版準備中です.関連して,国際会議3件,国内会議2件の発表を行なっています.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時には予想していなかったトポロジカル磁性,低次元量子磁性体などに関する発展的問題の成果がでている.スピン励起の解析については国際共同研究を推進しており,これまでむずかしかった解析が可能になりつつある.この取り組みが成功すると,本研究課題の主題である強相関準粒子の寿命などの性質の正確な説明・予言が達成される.
|
今後の研究の推進方策 |
種々の2次元量子磁性体におけるスピン励起について,量子モンテカルロ法を用いて相関効果を正確に取り込んだ数値厳密な解析を行う.その結果と中性子散乱実験との比較によって,準粒子の寿命などの性質を明らかにする.また,量子スピン液体における特異な強相関準粒子がもたらすスピン流の数値解析についても引き続き取り組む.
|