研究課題/領域番号 |
22K03530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
東谷 誠二 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 教授 (70304368)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | カイラル超伝導 / カイラルエッジ状態 / アンドレーエフ束縛状態 / 表面散乱効果 / 表面束縛状態 / 奇周波数クーパー対 / 物性理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,近年様々な超伝導物質を対象に議論されている,高次カイラル超伝導(非p波カイラル超伝導ともいう)の物性を調べ,超伝導研究の進展に寄与することである.特に,カイラル超伝導体の表面で発現する自発エッジ流状態に着目し,現実の物質に不可避な原子スケールの乱れによる電子散乱を考慮した微視的理論モデルに基づいて,表面状態の理解に重要な諸物性(準粒子状態に対する表面散乱効果や弱磁場化のマイスナー応答など)の解析に取り組み,カイラル超伝導に特有の物理を探る.
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研究実績の概要 |
カイラル超伝導体の表面には,カイラルエッジ状態(CE状態)と呼ばれる表面アンドレーエフ束縛状態が存在する.また,カイラル超伝導は自発的に時間反転対称性を破る非従来型超伝導であり,その表面(エッジ)には自発電流が誘起されることが知られている.CE状態はこの自発エッジ電流の担い手として注目されてきた.しかしながら,カイラル超伝導の表面状態に関する従来の研究の多くは鏡面的な表面を仮定する理想化された理論モデルに基づいており,現実の物質では不可避な表面の乱れ(ラフネス)による散漫散乱の効果の理解は進んでいない.長い歴史をもつ超流動ヘリウム3の研究によって明らかにされてきたように,超伝導・超流動状態は一般に散漫散乱の影響を強く受ける. 超流動ヘリウム3では,p波対称性を有するカイラル超流動が実現する.同様な対称性をもつカイラルp波超伝導の候補物質も対象とした従来の研究によって,カイラルp波超伝導・超流動の表面状態密度には散漫散乱を反映した特徴的なサブギャップ構造が現れることが指摘されている.本研究では,高次(非p波)カイラル超伝導のCE状態に対する散漫散乱の効果を明らかにすることを目的に,カイラル超伝導の表面状態密度を準古典グリーン関数理論に基づいて解析した.その結果,高次カイラル超伝導にはカイラルp波に見られるサブギャップ構造が現れないことが明らかになった.このようなp波と非p波カイラル超伝導における散漫散乱効果の差異は,後者のCE状態には,前者とは異なり,複数のモードが存在し,それらのCEモード間の散漫散乱が表面状態密度の顕著なブロードニングを引き起こすことに起因する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の一つとして挙げていた,高次カイラル超伝導の表面状態密度に対する散漫散乱効果の解析に着手し,上記のような新たな知見を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究では,摂動論的手法を用いて表面での散漫散乱効果を解析した.これは鏡面反射確率に対して散漫散乱確率が十分に小さい場合を考えていることに相当する.今後は,散漫散乱が支配的になるような状況の解析を進めていく.
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