研究課題/領域番号 |
22K03536
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
福谷 圭祐 分子科学研究所, 光分子科学研究領域, 助教 (10706021)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 励起子絶縁体 / 光電子分光 / 強相関電子系 / 励起子 / 逆光電子分光 / 定常励起子 |
研究開始時の研究の概要 |
高度にデジタル化する現代社会において我々の生活は多種多様な電子機器とエレクトロニクス技術に支えられている。 これらの電子デバイスの動作原理を支える重要な粒子の一つである「励起子」は、半導体に光照射等を行った際に生成することが知られており、太陽電池や光エレクトロニクスにおいては光エネルギーの電気への変換やエネルギーの輸送を担う。この励起子は一般的には光励起などの外部からの刺激に反応する形で生成する粒子であるが、近年の研究において一定の条件を満たす物質においては自発的に生成することが明らかになりつつある。本研究では、様々な物質設計の観点から今後の応用に資するこれら自発的励起子の制御方法を探査する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、これまで主に半導体等に光照射を行うことによって生成される過渡的な粒子であると考えられてきた励起子が、「励起子絶縁体」と呼ばれる物質内においては、自発的に生成される(定常励起子)という近年の発見に基づき、それら定常励起子の性質を明らかにするとともに、物質設計の観点からその性質の制御を行うことである。 初年度である2022年度においては、研究環境の整備を行うとともに、放射光施設を利用した角度分光電子分光実験を行うことにより主に物質内の元素組成比の制御による電子構造および定常励起子の性質変化を評価するための実験データを収集した。これらのデータおよび、これまでの研究で得られた類似物質系の電子構造データを合わせて解析することにより、定常励起子が存在する温度領域で、励起子生成の原動力となる電子相関(励起子を形作る二つの粒子(電子と正孔)の接着剤の役割を果たす力)が変化するであろうことが明らかになった。 この実験結果及び研究成果は応用物理学会学術講演会(2023年3月)の講演において発表しており、講演後の質疑においては、励起子生成における「接着剤」の役割を果たす電子相関の詳細に関する議論を行い、活発な意見交換を行うことができた。今回の研究成果は本研究課題における励起子制御に関して、温度及び原子組成比による励起子の性質制御が可能であろうことを示唆する結果であり、今後、励起子を利用した応用研究(太陽光発電、励起子レーザー、発光素子など)への波及も期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究・実験環境の整備は概ね順調に進んでおり、初年度において光電子分光実験を行うことができている他、実験結果を報告及び議論するために学会での講演も行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題においては、目的である励起子絶縁体における励起子制御に関して温度制御、物質組成による制御の2点において有望な実験結果が得られている。 今後の研究課題推進方策は、(1)これらの温度・組成制御の観点からの発見に関する追従実験を行い、論文の形で発表する、(2)励起子絶縁体における励起子状態の電場制御の可能性を探る、である。研究課題は概ね順調に進展しているため、これらの2点を達成するため、更なる実験環境の整備(分子線エピタクシー蒸着環境の整備、分子試料の選定・調達など)を行うことにより定常励起子制御の新たな可能性を探る。
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