研究課題/領域番号 |
22K03537
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
寺嶋 太一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (40343834)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 一軸歪み / 磁場 / 低温 / 電子状態 / 量子振動 / フェルミ面 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、鉄系超伝導体などに見られる電子ネマチック相への関心の高まりと共に、一軸歪みが電子状態をチューンするクリーンな手法として注目を浴びている。本研究では、磁場中で回転可能な小型の一軸歪み印加装置を開発し、それを用いて一軸ひずみ下で鉄系超伝導体やトポロジカル物質の量子振動測定を行う。前者においては、電子ネマチック相のフェルミ面の一軸歪みに対する応答からFe 3d軌道のエネルギー準位の変化を明らかにし、ネマチック秩序の起源を議論する。後者においては、一軸歪みによりトポロジカル相転移やワイル点の分離などを誘起し、それに伴うフェルミ面の変化を検出する事を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、鉄系超伝導体などに見られる電子ネマチック相への関心の高まりと共に、一軸歪みが電子状態をチューンするクリーンな手法として注目を浴びている。電子ネマチック相では電子間相互作用により電子系に特別な方向が生じ、結晶の回転対称性が低下する。一軸歪みは対称性の破れに直結し、電子ネマチック相研究に最適なチューニングパラメーターである。本研究では、磁場中回転可能な小型の一軸歪み印加装置を開発し、一軸ひずみ下で鉄系超伝導体やトポロジカル物質のフェルミ面を研究することを目指している。 本年度は (1)ピエゾスタックを使用した一軸歪み印加装置開発のため、概念設計を行い、適当な市販ピエゾスタック、制御用電源について検討した。それに基づき、使用するピエゾスタックを決定した。制御用電源及びそのコンピューター制御に必要なモジュールについては、別予算で購入したものを活用することとした。 (2)手動でネジを締めることにより一軸歪みを調整、印加する治具を設計し、試作した。今後、ストレインゲージを使って、室温で印加した歪みと低温での歪みの関係を校正する必要がある。 (3)試料と、試料を貼り付けた基板の熱収縮の差を利用して、試料に一軸歪みをかける方法を活用して、鉄系超伝導体母物質CaFeAsFをデツインし、その電子状態の面内異方性を、磁場中での層間電気抵抗測定により明らかにした。この手法は簡便であるが、デツインのためには極めて効果的であることがわかったので、次年度のために樹脂、石英ガラスなどの基板を加工して試料を保持するのに適当な治具を数種類作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一軸ひずみ印加装置として、(1)ピエゾスタックを使用し、低温in situで±0.4%程度までの歪み制御が可能なものと、(2)in situ制御はできないが、手動 で2%程度までの大きな歪みを加えられるものの2種類を開発することを目指しているが、本年度はその端緒を開いた。 また、熱収縮を利用した更に簡易な手法で、実際に電子状態の異方性の研究も実施できた。 これらより、順調に進展していると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
ピエゾスタック使用一軸歪み装置については、ピエゾスタック以外の部位の設計試作が必要である。一方、手動一軸ひずみ印加装置については、試作品のキャリブレーションを行う必要がある。次年度にこれらを行い、最終年度には、実際の物性研究への適用に進みたい。 あわせて、熱収縮を利用する簡易手法を用いた電子状態研究も並行して行っていく。
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