研究課題/領域番号 |
22K03548
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 隆士 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (90378878)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 高分子 / 結晶化 / 凝集体 / ポリトリメチレンテレフタレート / シンジオタクチックポリプロピレン / 高分子結晶化 / 小角X線散乱 / 結晶成長 |
研究開始時の研究の概要 |
最近、結晶性高分子の深い過冷却度での結晶化過程において、数nmの微結晶による凝集体形成過程の存在を発見した。この機構は従来の結晶成長モデルでは説明がつかない。また、高分子以外の多くのソフトマテリアルにおいても、ナノ構造による凝集体の形成メカニズムは共通の問題として存在する。そこで本研究では、高分子物質やタンパク質等におけるナノ構造の凝集体の形成・破壊過程を、X線散乱法を主とした測定・解析により明らかにすることで、「ソフトマテリアルに共通するナノ構造の凝集体形成メカニズム」を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で結晶性高分子の一つであるポリトリメチレンテレフタレート(PTT)の深い過冷却度での結晶化過程において、数nmの微結晶による凝集体形成過程の存在を明らかにしてきた。しかしながら、この過程は従来の結晶化理論では十分な説明ができない。また、多くのソフトマテリアルにおいて、ナノ構造による凝集体の形成メカニズムはいまだ共通の問題として存在している。そこで本研究では、高分子を含むソフトマテリアルに対してナノ構造の凝集体の形成・破壊過程を、X線散乱法を主とした測定・解析を行うことで、「ソフトマテリアルに共通するナノ構造の凝集体形成メカニズム」を解明することを目指している。 前年度の研究において、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)のガラス転移温度近傍での等温結晶化過程について小角X線散乱(SAXS)測定、広角X線回折(WAXD)測定、光学顕微鏡観察を行ったところ、sPPにおいてもPTTと同様の微結晶の凝集体形成を伴う結晶化機構の存在を明らかにした。しかしながら、まだ機構を解明するところまでは至っていなかった。 そこで今年度は、ガラス状態のPTTをわずかに伸長させ、その伸長ガラスPTTのガラス転移温度付近における結晶化過程のSAXS・WAXD測定を行うことで、微結晶凝集体を伴う高分子結晶化機構の解明を試みた。その結果、延伸により微結晶が楕円体状に凝集すること、微結晶は延伸方向に対して垂直方向に層状に広がること、成長速度・核生成頻度は未延伸のものに比べて一桁早くなること、などが明らかになった。これらの成果は機構の解明を行う上で重要な結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに明らかになっていたPTTに加えて、sPPについても微結晶凝集体を伴う結晶化過程の存在を明らかにした。さらに今年度行ったPTTの延伸結晶化により、延伸下においてもこの結晶化過程の存在を明らかにした。現在、凝集体形成キネティクスについても詳細に解析を行っている。また、物理ゲルの形成過程のSAXS測定についても行っており、現在、結果を解析している。以上の理由により おおむね順調 としている。
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今後の研究の推進方策 |
現在実施している延伸下でのガラス転移温度付近での等温結晶化過程の実験結果をまとめる。また、延伸下と静置場での実験結果をまとめることで、微結晶凝集体形成メカニズムの解明を行う。さらに結晶化した試料を延伸し、破壊挙動まで測定することで、高分子材料の延伸による破壊挙動を明らかにする。 また現在、物理ゲルの形成過程を測定・解析しているのでこれらをまとめる。さらに、X線散乱法によるタンパク質水溶液の凝集体形成過程の測定を行い、定量的な解析を行う。
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