研究課題/領域番号 |
22K03551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松原 弘樹 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (00372748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ピッカリングエマルション / 臨界溶解濡れ / 界面張力 / 解乳化 / 乳化状態の制御 |
研究開始時の研究の概要 |
2液相系の臨界溶解温度よりも十分高い温度から、ピッカリングエマルション(PE)の調製温度を徐々に臨界溶解温度に近づけていく実験で ① 乳化温度による接触角の違いを利用したPEの液滴サイズの制御 ② 液液界面張力の減少による吸着エネルギーの低下とPEの経時安定性の関係 を明らかにする。また温度を連続的に臨界溶解温度に接近させる実験で ③ 粒子の溶媒による濡れ転移に伴うPEの自発解乳化 を実現する。液液界面張力と液液界面での粒子の接触角を臨界指数で表現し、これを①~③の結果と組み合わせ、液液界面張力とPEの乳化物性の関係について包括的な理解を確立する。
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研究実績の概要 |
本年度は、シリカ粒子(直径100nm)を用い、34℃付近に下部臨界溶解点を持つ、水と2,6 ルチジン混合溶液についてピッカリングエマルションを調整し、その物性と液液界面張力の相関について研究を行った。 初めにシリカ粒子の濃度を変数として、実験室の環境で適切に(1か月適度の期間で)乳化安定性の試験が可能なシリカ粒子濃度の条件を調査し、水相に2wt%でシリカ粒子を分散させたサンプルを最適条件として決定した。 次に60℃~40℃まで5℃間隔で、シリカ粒子の水分散液(5mL)に同量のルチジンを加えて、超音波ホモジナイザーを用いてピッカリングエマルションを調整した。目視観察、DLS測定、顕微鏡観察などを組み合わせ、1~2週間程度の経時安定性を調べたところ、液液界面張力が大きくなるにつれて連続的にピッカリングエマルションの合一速度が遅くなることがわかり、界面張力の値とピッカリングエマルションの経時安定性には明確な相関があることが確かめられた。また、60℃で調整したサンプルを臨界溶解点に向かって連続的に降温する条件では、申請時に予想した通り、界面張力の急激な低下に伴う、ピッカリングエマルションの自発的な解乳化を実現することができた。 また、それぞれの温度で調整したピッカリングエマルションの平均粒径にも有意な差が観察され、界面張力を利用した粒径制御にもある程度の見通しをつけることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、シリカ粒子、水、ルチジン系において、臨界溶解点近傍では界面張力を温度で効果的に制御できること、そしてそれがピッカリングエマルションの物性(経時安定性、粒径など)と明確な相関を示すことを明らかにすることができた。また、計画書に記載したもう1つの実験系であるシリカ粒子、シクロヘキサン、メタノール系についても定性的には、同様の結果が得られることもすでに明らかにしており、現在、1報目の論文を執筆、投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、臨界指数を用いた界面張力の理論的な表現を解乳化温度の解析によって決定し、液液界面でのシリカ粒子の接触角をヤングの式を用いて評価する段階に研究を進め、そこで得られた界面張力と接触角の関係と、乳化安定性、ピッカリングエマルションの粒径を用いて、界面張力と温度を変数として、ピッカリングエマルションの物性相関図を作成する予定である。 また、この段階では実験の進捗状況に応じ、シリカ粒子以外の粒子についても同様の実験を行うことで、汎用的な(粒子や溶媒の種類によらない普遍性のある)相関図の作成にも挑戦したい。
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