研究課題/領域番号 |
22K03558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
千葉 文野 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (20424195)
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研究分担者 |
客野 遥 神奈川大学, 工学部, 准教授 (10746788)
秋山 良 九州大学, 理学研究院, 准教授 (60363347)
勝本 之晶 福岡大学, 理学部, 教授 (90351741)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ポリオレフィン / ホスト-ゲスト構造 / 選択的透過 / 液体分離 / アルカン / 共結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は結晶性の高分子フィルムに対するアルカンなどの低分子の吸蔵・透過現象を研究している。最近、P4MP1と呼ばれる結晶性高分子のフィルムを、デカンとヘキサンなど長短のアルカン混合系に浸漬すると、長い方のアルカン分子が選択的に高分子フィルム中に吸蔵される現象を発見し研究している。この現象から類推すると、当該のフィルムは長短のアルカンに対し、長い方のアルカン分子を優先的に透過するのではないかと考えられる。しかし、実際には当該膜は非透過膜であることが分かり、にもかかわらず条件によっては短い方のアルカンが特定の時間内において優先的に透過する現象を見出した。本研究ではこのような現象の起源を解明する。
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研究実績の概要 |
我々は高分子isotactic poly(4-methyl-1-pentene) (P4MP1)のアズキャストフィルムが、長短の直鎖アルカンに対し、短い方のアルカンを優先的に透過させる現象を見出し、このような優先透過現象を半定量的に調べた。その結果、この優先透過現象の原因が2種類あることが分かった。それは、(a)分子長による透過のし易さと、(b)透過後の溶媒の不均一性である。(a)については、攪拌子により系の不均一性を除去した状態においても優先透過が見られた。加えて、短鎖アルカンの水素を全て重水素で置き換えた溶媒について、同様の実験を行った結果、この系では長短のアルカンの密度(比重)の大小が入れ替わっているにもかかわらず短鎖アルカン優先透過がみられた。これら複数の実験結果から、密度(比重)の大小や(b)のような不均一性とは無関係に、分子長が短い方が透過し易いことが示された。(b)については、長鎖アルカンの密度(比重)が短鎖アルカンより大きいことに起因して、透過後の溶媒不均一性が予想された。そこで、透過後の溶媒をガスクロマトグラフィーにより計測したところ、予想通り溶媒不均一性が確認された。この不均一性に起因して(a)による優先透過が助長されることが分かった。 また、このような優先透過現象が、長短の直鎖アルカン同士のみならず、直鎖ヘキサンと枝分かれヘキサンや、ベンゼンとシクロヘキサンなどの組み合わせについても見られた。溶媒の優先透過現象がマクロにみられ、液面位置の移動として観察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
見出した現象が新しく奇妙に思われ、その原因を特定することに時間を要したが、2種類の原因が特定できた。これまでの我々の優先透過現象の実験は定量性に欠けていたが、ようやく定量性あるデータが得られ、上述の2種類の要因が存在することを実験的に示すことができてきたと思われる。今後はこの2種類の要因がそれぞれどのくらい優先透過現象に効いているのかまでを定量したく考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で扱っている優先透過現象は、いわゆる半透膜とは少し異なり、両方の溶媒を概ね同じオーダーで透過させていると思われる。つまり、長短のアルカンはフィルムに対し、オーダーとしては同程度の透過速度を有すると思われる。しかし短い方のアルカンの速度が特に初期において大きいことに起因して優先透過現象がマクロに見られ、一度透過すると、今度は混合溶媒の不均一性が生じ、これにより優先的な透過性が助長されると考えられる。 今後の研究の方針としては、このような現象が今回の高分子P4MP1フィルムに特有のものなのかどうかを明らかにするため、同様の実験をセルロースフィルムに対して水系で行うことを計画している。また、P4MP1フィルムに関しては各種溶媒の拡散係数の計測も検討している。
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