研究課題/領域番号 |
22K03586
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14030:プラズマ応用科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
奥村 賢直 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (60801149)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | プラズマ農業 / 種子科学 / プラズマ / 種子 / 植物 / 応答誘導 / 発芽 / 質量分析 / 化学種 / RONS |
研究開始時の研究の概要 |
大気圧プラズマは種子の発芽、またその後の成長を誘導できる革新的技術である。この機構解明には、種子内へのプラズマ起因化学種導入量の定量的評価が欠かせないが、プラズマ照射された種子から化学種を実測した報告例はない。そこで本研究では、種子内へのプラズマ起因化学種導入の実験的証拠を世界へ提供するとともに、種子内化学種導入量の微量定量測定法を創成する。本研究は、プラズマ起因化学種量導入量を基にした植物分子生理学的検討から機序解明を行う学術的貢献に加え、世界の食糧安定供給に資すると期待できる。
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研究実績の概要 |
種子への大気圧プラズマは発芽、またその後の成長といった植物の応答を誘導できる。社会実装および学術的観点から、この機構解明には、種子内へのプラズマ起因化学種導入量の定量的評価が欠かせない。しかしながら、プラズマ照射された種子から化学種を実測した報告例はない。そこで本研究では、種子内へのプラズマ起因化学種導入の実験的証拠を世界へ提供するため、プラズマ照射によって種子内に導入される化学種の検出・同定および微量定量測定法を創成した。本研究の実施計画に従い、化学種としての第一のターゲットとして、種子の休眠打破を誘導するがその分子メカニズムが不明な硝酸イオンNO3-とした。検出および同定には、Quadrupole mass spectrometer(QMS)、Liquid chromatography-multi-wavelength detection (LC-MWD)を用いた。定量分析には、Liquid chromatograph-tandem mass spectrometer(LC-MS/MS)を用いた。このNO3-の導入経路をCOMSOL社により、1Dモデルの化学反応シミュレーションにより導いた。さらに、プラズマ照射によって起こる、種子内外の分子変動を質量分析により明らかにした。これは、プラズマ起因化学種が果皮・種皮を透過し、種子内部へ輸送されることを示唆する。本研究成果は、これまでミッシングリンクとなっていた、プラズマ照射によって種子に供給される化学種を測定する方法である。よって、本方法がプラズマ照射による生体応答誘導技術の定量評価を可能とするものと期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画の遂行に加え、研究計画当初、想定しなかった重要な知見として、(i) プラズマ照射による果皮・種皮の化学種透過、(ii) プラズマ照射による種皮・果皮の物質透過性の向上、(iii) プラズマ照射による種子内外の分子変動(いくつかの分子に関しては同定済み)、を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
すでに確立した種子内NO3-微量分析法を、短寿命RONSへ応用することで、種子内プラズマ起因長・短寿命RONS導入量の微量分析法を創成する。これにはスピントラップ材を用いる。これにより、再結合や他との反応により消失の時定数が測定時間よりも短い短寿命RONSを長寿命化し、種子内NO3-微量分析法と同様の手順でLC/SFC-MS/MSによる微量分析法を確立する。データの精度は、スピントラップ剤を含ませた溶液への長時間プラズマ照射を行い、これを電子スピン共鳴分光法および本方法で評価する。 すでに、スピントラップ材に対するプラズマ照射によって、質量分析および電子スピン共鳴分光法によるラジカルの長寿命化を確認している。
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