研究課題/領域番号 |
22K03589
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14030:プラズマ応用科学関連
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
本橋 健次 東洋大学, 理工学部, 教授 (50251583)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 大気圧プラズマ / マイクロバブル / 活性酸素 / がん細胞 / 選択的不活化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、がん細胞に多くの活性酸素種を吸収させることにより、正常細胞に比べてがん細胞の不活化効率を20倍程度まで高めることを目的とし、酸素・ヘリウム混合プラズマにより生成した活性酸素(酸素ラジカル)をマイクロバブル内に閉じ込めた「活性酸素マイクロバブル」を各種の点滴液内に発生させ、これをがん細胞と正常細胞に添加した際のがん細胞不活化選択比を測定する。ただし、全細胞の37%を不活化するのに要するプラズマ照射時間を平均不活化時間とすると、正常細胞の平均不活化時間をがん細胞の平均不活化時間で割った値をがん細胞不活化選択比と定義する。
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研究実績の概要 |
本研究では,大気圧プラズマを点滴液に照射することにより活性酸素種を発生させ,その活性酸素種を閉じ込めた「活性酸素マイクロバブル点滴液」をがん細胞と正常細胞に添加した際の不活化効率を調べることを目的としている。がん細胞は正常細胞より活発に糖代謝するため酸素消費量も多く,その結果,活性酸素に対する不活化効果も高いことが期待される。不活化効率を定量的に表す物理量として,細胞生存率がプラズマ照射時間に対して指数関数的に減少する際の時定数の逆数をプラズマ感受性と定義した。そして,正常細胞のプラズマ感受性に対するがん細胞のそれをがん細胞不活化増強比と定義し,これをがん細胞の選択的不活化の指標と定義した。このがん細胞不活化増強比を20以上とするようなプラズマ活性化マイクロバブルを含む点滴液を作成することを本研究の最終目標とした。すなわち,正常細胞に比べてがん細胞を1/20のプラズマ照射時間で不活化するような,活性酸素封入マイクロバブル点滴液を作成することを最終目標とした。 2023年度は,He酸素混合ガスを流したガラス管内に12kV・10kHz の交流電圧を印加した誘電体バリア放電により大気圧プラズマを発生させ,下流に設置したベンチュリノズルによりウルトラファインバブル(UFB)に閉じ込めると共に,ベーンポンプを使用して液体を循環させることで気泡の濃度を高める装置を開発した。予備実験において,350mLの乳酸リンゲル液をこの装置で5~25分間処理したところ,300~500nmのUFBの生成が確認された。しかし,そのプラズママイクロバブル点滴液を皮膚がん細胞と肺がん細胞に添加したところ,添加しない場合と比べて生存率に大きな違いは見られなかった。また,プラズマ発生時間を変えてもその傾向は変わらなかった。これらの結果は2024年第71回応用物理学会春季学術講演会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プラズマ活性酸素を閉じ込めた直径1マイクロメートル以下のウルトラファインバブルを作成することには概ね成功したが,バブル量(密度)が少ない上,ベンチュリノズルの発熱により点滴液が変質してしまうため,がん細胞の選択的不活化を達成できなかったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
点滴液中のバブル濃度を上昇させるためには,ガラス管内でのプラズマ発生ではなく,多数の穴あきセラミック板を挟んでプラズマを発生させる方法に変える必要があると考えられる。さらに,ベンチュリノズルの発熱を抑制するため,これを冷却しながらウルトラファインバブルを発生させる必要があると考えられる。
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