研究課題/領域番号 |
22K03594
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
奥山 和美 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (70447720)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 二重極限SYK模型 / DSSYK / JT重力 / ホログラフィー対応 / ホログラフィー / N=4超対称ゲージ理論 / 2重極限SYK模型 / 行列模型 / 量子重力 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究の目的は、2次元のディラトン重力の一種であるJackiw-Teitelboim (JT) 重力の行列模型による記述を用いて、量子重力の非摂動的な性質を調べることである。JT重力の行列模型は超弦理論におけるAdS/CFT対応のトイモデルと考えられ、この模型の解析から量子重力のホログラフィー原理に対する深い理解が得られることが期待される。
本研究では、JT重力の行列模型にFZZTブレーンと呼ばれるブレーンを導入する方法を用いて、量子重力の経路積分における時空のトポロジーの足し上げと、それに対する非摂動的な補正の性質を明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は、二重極限SYK模型(DSSYK)について研究した。立教大学の鈴木氏と共同で、DSSYKの相関関数の半古典展開を1-loopまで計算し、それがLiouville理論の計算と一致することを示した。また、DSSYKの分配関数の高温展開は有限の収束半径を持ち、収束半径が分配関数のゼロ点で決まることを見出した。JT重力の場合と同様に、DSSYKにEOWブレーンを導入することができ、対応する波動関数がビッグqエルミート多項式で与えられることを示した。DSSYKの分配関数のジーナス展開の高次の項は、行列模型の位相的漸化式から一般的に計算することができ、トランペットとWP体積の離散版の組み合わせで表されることが分かった。特に、ジーナス1の寄与として、ワームホール時空上のDSSYKの相関関数を計算し、ワームホールがピンチする極限でもUV発散が無いことを示した。 DSSYK以外の研究としては、JT重力の行列模型を用いたホログラフィー対応の研究を行った。明治学院大学の酒井氏と共同で、スペクトル形状因子の遅い時間の振る舞いを系統的に計算する手法を開発した。酒井氏及び大阪大学の飯塚氏、姉川氏と共同で、スペクトル形状因子の多点関数への一般化を議論した。また、信州大学の博士学生である立花氏と共同で、エンタングルメント・ネガティビティーに対してキャパシティーという量を定義し、支配的に寄与するレプリカワームホールが入れ替わることを反映して、その量の時間発展に2つのピークが現れることを議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、DSSYKとJT重力の研究を精力的に行い、単著及び共著論文を複数出すことができた。当初思っていたよりも多くの成果が上がっており、計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、DSSYKの研究を継続する予定である。特に、バルクの量子重力のヒルベルト空間の構造を理解したいと考えている。また、ブラックホールのファイヤウォールやホワイトホール相について、DSSYKを用いて何か言えないか、共同研究を行うことを考えている。2024年度は本研究課題の最終年度であるため、結果を論文にまとめて出すことを目標にしている。
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