研究課題/領域番号 |
22K03598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
森山 翔文 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (80402452)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 双対カスケード / 平行多面体 / 超対称チャーン・サイモンズ理論 / 大分配関数 / パンルヴェ方程式 / ワイル群 / アフィンワイル群 / 弦理論 / M理論 / M2ブレーン / チャーン・サイモンズ理論 / q変形 / 双線形関係式 / 超弦理論 / 量子曲線 / ブレーン遷移 |
研究開始時の研究の概要 |
あらゆる微視的な相互作用を統一的に記述する究極的な最終理論が存在するか。それは素粒子物理学が目指す最大のテーマであるが、その謎解きの鍵は超弦理論や超共形場理論にある。本研究では、対称性や表現論の視点から、分配関数や超共形指数など超弦理論や超共形場理論の厳密な物理量を捉え直すことで、摂動論を超えて超弦理論の理解を進めることを目標とする。特にこれらの解析において重要な役割を果たす量子曲線には例外ワイル群の対称性が作用し、その対称性からブレーン遷移やM5ブレーンに知見を与えたい。
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研究実績の概要 |
異なるゲージ群のゲージ場や異なる表現の物質場を持つゲージ理論が同様の物理を与えることがあり、これを双対性という。また双対変換を継続的に適用することができ、双対カスケードという。M2ブレーンを記述する超対称チャーン・サイモンズ理論(ABJM理論やその拡張)に対して、双対性や双対カスケードが詳しく調べられてきた。特に、双対カスケードが必ず有限回の変換で終了するか、また、終了するとすれば終点が一意的であるかという疑問は、研究代表者らの先行研究において、平行多面体と関連付けて肯定的に解決された。つまり、双対カスケードの終点集合を用いて基本領域を定義すれば、上記の有限性や一意性に関する疑問は、双対カスケードと対応する離散的な平行移動によって、基本領域の無限個のコピーが全パラメータ空間を重複も隙間もなく埋め尽くすか、つまり、基本領域が平行多面体であるか、という離散幾何学的な問題に翻訳される。またこの問題は、基本領域がゾーン多面体になることから、ゾーン多面体の空間充填の判定条件を確認することで肯定的に解決された。 特にワイル群の対称性を持つ場合には、平行多面体はアフィンワイル部屋になり、平行多面体の離散的な平行移動はアフィンワイル群の元に同定される。また本年度の成果により、対応する理論の分配関数がアフィンワイル群の対称性を持つq変形されたパンルヴェ方程式を満たすことがわかった。これからアフィンワイル群との関係が強く示唆され、さらに分配関数に対するアフィンワイル群の変換を詳しく調べた。その結果により、もともと基本領域内において定義された分配関数がその領域内でqパンルヴェ方程式を満たしていた状況から、分配関数の定義域もqパンルヴェ方程式の有効域も全パラメータ空間に拡大することを発見した。この拡大された分配関数は双対カスケードとも整合し、単なる解の拡大を超えた物理的な分配関数である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
M2ブレーンの分配関数がパンルヴェ方程式を満たすことをアフィンワイル群の対称性の視点から捉え直すことにより、分配関数の定義域やパンルヴェ方程式の有効域を全パラメータ空間に拡大させることが出来た。これによりM2ブレーンにおける双対カスケードや可積分構造の理解が進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平行多面体を用いて双対カスケードを理解することは、パンルヴェ方程式の解析に繋がり、また、分配関数の定義域やパンルヴェ方程式の有効域を拡大させる上でも非常に有用である。次年度も平行多面体の視点を取り入れてM2ブレーンの可積分性やモジュライ不変性の理解を深めたい。
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