研究課題/領域番号 |
22K03599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
原田 潤平 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (10550139)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 共形キリング重力理論 / 宇宙の加速膨張 / ダークエネルギー / 宇宙定数 / ハッブル定数問題 / 重力 / Cottonテンソル / 銀河回転曲線 / 修正重力理論 / 一般相対論 |
研究開始時の研究の概要 |
ダークエネルギーやダークマターを導入する代わりに,一般相対論を「より正しい」重力理論に置き換えることによって様々な問題を解決しようという試みがなされている。本研究では,研究代表者自身によって最近提案された重力理論に対して,一般相対論を超える「より正しい」重力理論としての妥当性について,観測的側面と理論的側面の両面から包括的に調べる。本研究により,研究代表者によって提案された重力理論が一般相対論を超える重力理論の有力候補として確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
前年度までの研究成果に基づき重力場方程式が満たすべきものとして以下の3つの基準を考えた:1)宇宙定数が重力場の方程式の解の積分定数として得られること、つまりリッチ平坦な時空とド・ジッター時空がともに運動方程式の解となること、2)共変なエネルギー運動量保存則が運動方程式の結果として恒等的に得られること、3)共形不変な時空が必ずしも真空中の重力場方程式の解とはならないこと。これら3つの基準を同時に満たし、かつ曲率の2次の項を含まないような重力場方程式を新たに提案した。アインシュタイン方程式の任意の解は新たな重力場方程式の解でもある。重力場方程式が持つ数学的特徴から、その重力理論はイタリアの研究グループによって共形キリング重力と名付けられた。重力場方程式をフリードマン・ロバートソン・ルメートル・ウォーカー計量を持つ一様等方宇宙に適用し、スケール因子が満たす運動方程式(フリードマン方程式の一般化)を得た。その方程式の解は通常のフリードマン方程式にはない特徴を示す。すなわち、通常の物質優勢の宇宙であっても、減速膨張から加速膨張へと転じる宇宙論解があることがわかった。しかも現在観測されている物質密度の値であれば、減速膨張から加速膨張への転移は過去に起きたことを示すことができる。この減速膨張から加速膨張への転移に際して負の圧力を持つダークエネルギーや正の宇宙定数を仮定する必要はない。つまり現在の宇宙の加速膨張をダークエネルギーなどの未知の成分なしに説明できる。さらに詳細に調べてみると、いわゆるハッブルテンション問題(ハッブル定数の値に関する問題)を解決する可能性があることもわかった。これらの成果は、米国物理学会のPhysical Review D誌に2編の論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに得られた知見に基づいて新たな重力場方程式を提案することができた。その運動方程式をフリードマン・ロバートソン・ルメートル・ウォーカー計量を持つ一様等方宇宙に適用し、宇宙の減速膨張から加速膨張へ転移する解があることを示した。また現在の宇宙論で問題となっているハッブル定数の値に関する問題にたいして解決しうる可能性があることも示した。これらの成果を合わせて、本研究課題で得られた成果はこれまでにすでに3編の学術論文として出版されており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、当該年度に得られた重力場方程式に基づいて、その理論的基礎と天体物理学・宇宙論への応用を計画している。とくに重力波の偏極モードを明らかにすること、引き続き宇宙論への応用、そして銀河の回転曲線問題について研究を進める計画である。
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