研究課題/領域番号 |
22K03605
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
木村 蘭平 早稲田大学, 理工学術院, その他(招聘研究員) (70785310)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 宇宙論 / 重力理論 / 修正重力理論 / ダークエネルギー |
研究開始時の研究の概要 |
近年の宇宙論的観測の飛躍的進歩により、今後重力理論の検証がより一層加速することが期待されます。本研究では、重力子が質量を持つ理論において、多角的な視点から物理現象の 理論的予言を行い、そして重力子の質量の制限を行うことで、重力子に関する理解を深める ことを目的とします。そのために、重力子が質量を持つ理論における宇宙膨張の進化、および、大規模構造の進化を調べ、太陽系スケールにお ける一般相対性理論との整合性についての研究を行います。さらには、次世 代観測の宇宙論的観測データを用いた重力子の質量・理論パラメータの測定まで行います。
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研究実績の概要 |
本研究では重力子が質量を持つ理論において、多角的な視点から物理現象の理論的予言を行い、そして重力子の質量の制限を行うことを目的としている。一般相対性理論では質量はゼロであるため、この質量を理論的・観測的に制限することは非常に重要な課題となる。近年の先行研究で発見された理論的に安定な質量項は2つのパターンがわかっており、今まで不安定性などの問題で宇宙論への応用が不可能であると思われていたmassive gravityに現実的なモデルを用いた研究が早急に必要となる。そこで、宇宙論における役割、そして将来の精密な観測データ を用いた検証まで見据えた研究が必要となる。本年度は拡張されたmassive gravityにおける背景時空(flat FLRW)における非線形摂動を評価し、小スケールにおける一般相対性理論との生合成について調べた。非線形性を評価するにあたって、通常の摂動展開を用いるのではなく、微分演算子と摂動量の組み合わせを新たな摂動パラメータとして組み入れ、任意の摂動の次数まで取得できるような手法を取り入れた。これにより、通常の摂動展開では無限に現れる項を上手く処理することが可能になった。さらに、この非線形性を取り入れた方程式を球対称時空の状況設定下で重力ポテンシャルやスカラー自由度の解を発見し、一般相対性理論との整合性を明らかにした。一方で、線形摂動でも一般相対性理論と中間スケールでも一致するため、どのように観測的制限を行なっていくかが課題となると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一般相対性理論との整合性は確認できたが、同時に様々なブランチの存在が明らかになった。また、decoupling limitとの整合性など、課題や問題が増えたことで、宇宙論的観測を用いた制限まで辿り着くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により一般相対性理論との整合性は確認されたが、同時にコンパクト天体などの重力が非常に強い領域でのスカラー自由度の影響はいまだに不明である。そのため、ブラックホール解などを調べることには非常に意味があると思える。今後は当初の予定である宇宙論的な予言と観測的制限を含めた研究だけでなく、コンパクト天体への影響と、もし、一般相対性理論とのズレがあるとすれば、どのように検証していくのかを含めて、詳細な議論を行なっていきたい。
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