研究課題/領域番号 |
22K03609
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 鈴鹿工業高等専門学校 |
研究代表者 |
仲本 朝基 鈴鹿工業高等専門学校, 教養教育科, 教授 (10311036)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | クォーク模型 / 3体力 / ハイペロン / 中性子星 / バリオン間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
バリオン8重項から成る3体系における「三体力」を、予言能力のあるクォーク模型により研究する。 中性子星を内部から支える余剰斥力の起源の最有力候補と考えられるバリオン多体効果を、クォークの観点から調べることにより、(ハイペロンを含んだ)三体バリオン力を統一的に記述でき、併せてトライトン(三重陽子)やハイパートライトンなどのバリオン少数多体系と中性子星の構造の統一的な理解が見込める。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、3体バリオン間における、カラー磁気項の寄与について調べた。 3体バリオン力として評価する共鳴群法カーネルにおいて、カラー磁気項が特異点を持つような形となるため、3体バリオン間にS波の調和振動子相対波動関数を仮定して共鳴群法カーネルごと積分した量を疑似ポテンシャルとして評価する方法を採用し、その際に含まれる(バリオン間ヤコビ座標における)2個の幅パラメータとして妥当な値を用いることによって、どのような結果が得られるかについては、前年度に調べていた。 しかしながら、この量は、定性的にはポテンシャルの振る舞いを再現しているものと解釈できるが、ポテンシャルそのものではないので、実在する物理量としての評価とは言えない。そこで令和5年度は、この量をポテンシャルとして評価できる(すなわち定量的にもある程度信頼できる)ように、変換した量を評価した。これによって、原点で1000MeVオーダーの芯を持つような、ポテンシャルとして妥当と思われる結果が得られた。 興味深い定性的結果として、全スピン1/2の系において、以下の点が得られた。①NNN(トライトン)系の短距離領域において、2体効果の2/3程度の3体効果が得られた。②ΛNN系の短距離領域において、2体効果をしのぐほどの3体効果が得られた。③Σ^-nn系において、引力的な3体効果が得られた。 これらの成果については、9月に中国で開催された国際会議QCS2023、1月に茨城県東海村で開催されたKEK小規模研究会「ストレンジネス核物理:現状と最近の進展」の場において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3体バリオン力として評価する共鳴群法カーネルにおいて、カラー磁気項が特異点を持つような形となるため、3体バリオン間にS波の調和振動子相対波動関数を仮定して共鳴群法カーネルごと積分した量を疑似ポテンシャルとして評価する方法を採用していたが、他の研究者と議論する中で、その評価量では、物理量として何を意味しているか明確でない、本来評価すべきポテンシャルの形で表し直すべきだ、との指摘を受け、そのように評価し直すことを行った。その手間に時間がかかり、他の項からの寄与の評価の結果を出すところまで到達できなかったことにより、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
カラー磁気項に関する一応の結論が得られたので、論文としてまとめる。 カラー磁気項以外の項からの3体バリオン力への寄与についても計算している段階であり、それらについても結果を出していく。 先行研究との結果の違いについての分析も進みつつあるので、それについてもまとめる。
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