研究課題/領域番号 |
22K03610
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
谷口 億宇 香川高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (60529064)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 天体核反応 / 微視的模型 / 原子核構造 / クラスター共鳴 / 核融合反応率 / 微視的原子核模型 |
研究開始時の研究の概要 |
核融合反応は、天体現象のエネルギー源で、その反応率や崩壊様式は宇宙の化学組成に大きく影響する。しかし、特に低温での核融合反応率の直接反応による実験的な研究は厚いクーロン障壁のため困難であり、不定性が大きい。本研究では、天体現象に重要な核融合反応率を、微視的原子核模型計算で詳細に解明する。特に爆発的な天体現象に重要である 12C+12C, 16O+16O,12C+16O 核融合反応率や崩壊様式を明らかにする。
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研究実績の概要 |
12C+12C核融合反応率を微視的原子核模型を用いて評価した。12C+12C, α+20Ne, p+23Naチャネルの結合を核子間ポテンシャルを用いて微視的に解き、12C+12C閾値近傍の共鳴状態の波動関数を計算した。そして、共鳴状態の波動関数から求まる部分崩壊幅を用いて反応断面積を導出し、天体現象で重要な温度領域の反応率を評価した。また、基底状態からのアイソスカラー型遷移強度が、非弾性散乱で十分に観測可能な程度の大きさがあることを示した。以上の成果は、国際誌で論文発表するとともに、国内外の会議でも発表した。 12C+12C核融合反応は炭素燃焼過程の主反応で、数多の天体における核反応の中でも主要な反応の1つである。例えば、その反応はX線バーストなどの引き金になると考えられており、反応率は宇宙分野からも注目されている。一方で、天体の環境を実験室で再現することは難しく、直接測定では反応率を決められていない。理論的にも、この反応の多核子組み換え効果を現象論的に扱うことができないため、研究が十分に進んでいなかった。本研究では、微視的模型によって、核子間ポテンシャルを用いて多核子組み換え効果を扱うことを可能としたもので、原子核理論の大きな進歩といえる。また、12C+12C核融合反応率は、様々な天体現象のシミュレーションに利用されうる。したがって、本成果は、宇宙物理への波及効果も見込まれ、分野をまたぐ大きな意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要目的である12C+12C核融合反応率を微視的に評価し、論文や国際会議で発表した。12C+12C核融合反応率の評価は本課題の主たる目標であることや、この手法は16O+16Oや12C+16O核融合反応率の評価にも適用可能であることから、順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
16O+16Oや12C+16O核融合反応率の研究を進める。前者は酸素燃焼過程と主反応で、後者はIa型超新星での元素合成に重要と考えられる反応である。
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