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ブラックホールの同定に向けた理論的枠組みの構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K03611
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
研究機関学習院大学

研究代表者

伊形 尚久  学習院大学, 理学部, 助教 (40711487)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードブラックホール / 一般相対論 / ダークマター / 近点シフト / 相対論 / 重力 / 宇宙物理
研究開始時の研究の概要

ブラックホールシャドウが観測されたことにより、ブラックホールと思われる中心天体の正体を明らかにすることが喫緊の課題となっている。しかしながら、理論側に目をやると、観測と相容れないブラックホールの概念を改善できる見通しは未だに立っておらず、観測を十分にサポートできていないのが現状である。現在の概念を受け入れてブラックホールである証拠を可能な限り確かなものにするための方法を突き詰めると、ブラックホールではない可能性を追求し続けて、それを否定し続けることが唯一の方法であるという結論に到達する。これを具体化するべく本研究では、ブラックホールを同定するための理論的な枠組みの構築を目的とした研究を行う。

研究実績の概要

前年度までの研究において, 静的球対称なシュバルツシルトブラックホールの周囲に, 同じ対称性をもつ物質場(アインシュタインクラスター)を配置したアインシュタイン方程式に無矛盾な時空解の構成法を発展させた. 本研究で対象としているこうしたブラックホールと物質場の複合系は, 天の川銀河の中心付近で実現されていると想定されるが, 一般には角運動量をもつと考えられる. ブラックホールの回転による時空の引きずりおよび物質場の回転運動は, その領域を運動する恒星に影響を与える. こうした観点から今年度は, 前年度の結果を一般化し, 定常軸対称な時空計量のアンザッツのもとでブラックホールと物質場の複合系をアインシュタイン方程式の解として無矛盾に表す時空解の構成について研究を行った. これにより, 2+1次元時空における定常軸対称なアインシュタインクラスターとブラックホールの複合系を記述する一般解を得ることができた. この解の具体的な表示を与えるとともに, 解のパラメーターの分類やエネルギー条件によるパラメーター領域の制限などを系統的に行った. 恒星の運動を考察するための土台となる背景時空解を構成することができた.
また今年度は, 静的球対称な時空における準円軌道の近点シフト角の一般公式を導出した. この公式は, 時空の曲率テンソル・準円軌道の中心半径・重力質量で表せることが明らかになった. これにより重力理論を限定することなく, 準円軌道の近点シフト角の議論が行える枠組みを構築した. また物理的に重要となるいくつかの極限を明らかにした. その中で弱場かつ物質場が拡がった状況において, 近点シフトを特徴づける指標が能動的重力質量密度と臨界質量密度の比で与えられることを明らかにした. これらの結果を銀河中心領域および太陽系に適用して, 恒星軌道上にある暗黒成分について制限をつけた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ブラックホールを含むより一般的な静的球対称時空における準円軌道の近点シフト角の一般公式を与えたことは, 当該研究計画で想定しているブラックホールを同定するための理論的枠組みの一つとして機能すると考えられるため.

今後の研究の推進方策

当初の研究計画で予定していたブラックホールとダークマター分布を統一的に記述するモデルをより現実的な系に近い時空解に近づけることができた. これに基づいて, 恒星の運動に対する物質場の回転運動の影響を考察する. さらに定常軸対称な時空における準円軌道の一般公式について考察を進める.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Periapsis shifts in dark matter distribution around a black hole2023

    • 著者名/発表者名
      Takahisa Igata, Tomohiro Harada, Hiromi Saida, Yohsuke Takamori
    • 雑誌名

      International Journal of Modern Physics D

      巻: 32 号: 16 ページ: 2350105-2350105

    • DOI

      10.1142/s0218271823501055

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] General formulae for the periapsis shift of a quasi-circular orbit in static spherically symmetric spacetimes and the active gravitational mass density2023

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Harada, Takahisa Igata, Hiromi Saida, Yohsuke Takamori
    • 雑誌名

      International Journal of Modern Physics D

      巻: 32 号: 15 ページ: 2350098-2350098

    • DOI

      10.1142/s0218271823500980

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Periapsis shifts in dark matter distribution with a dense core2022

    • 著者名/発表者名
      Takahisa Igata, Yohsuke Takamori
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 105 号: 12 ページ: 124029-124029

    • DOI

      10.1103/physrevd.105.124029

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Rotating fluid with anisotropic pressure in (2 + 1) dimensions2023

    • 著者名/発表者名
      伊形尚久, 孝森洋介
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 静的球対称時空における準円軌道の近点移動の一般公式と能動的重力質量密度2023

    • 著者名/発表者名
      原田知広, 伊形尚久, 斉田浩見, 孝森洋介
    • 学会等名
      日本物理学会 第78回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Near-Horizon Extremal-Kerr geometryを用いた光の脱出確率の解析的導出2023

    • 著者名/発表者名
      小笠原康太, 伊形尚久
    • 学会等名
      日本物理学会 2023年春季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 一般的な静的球対称時空における準円軌道の近点移動2023

    • 著者名/発表者名
      原田知広, 伊形尚久, 斉田浩見, 孝森洋介
    • 学会等名
      日本天文学会2023年春季年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 球対称時空における近点移動のSchwarzschildからのずれ2022

    • 著者名/発表者名
      原田知広, 伊形尚久, 斉田浩見, 孝森洋介
    • 学会等名
      日本物理学会 2022年秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Photon emission in the near-horizon extremal Kerr geometry2022

    • 著者名/発表者名
      小笠原康太, 伊形尚久
    • 学会等名
      日本物理学会 2022年秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 動径圧力をもたない相対論的静的球解の構成とテスト粒子の円軌道の解析2022

    • 著者名/発表者名
      孝森洋介, 伊形尚久
    • 学会等名
      日本物理学会 2022年秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ブラックホール周辺のダークマター分布における近点移動2022

    • 著者名/発表者名
      伊形尚久, 原田知広, 斉田浩見, 孝森洋介
    • 学会等名
      日本天文学会2022年秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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