研究課題/領域番号 |
22K03625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
関 穣慶 大阪公立大学, 数学研究所, 特別研究員 (60373320)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 閉弦の2点振幅 / mostly BRST exact演算子 / ゴースト数3の演算子 / 非弾性散乱におけるエンタングルメント / 弦理論 / 散乱振幅 / エンタングルメント |
研究開始時の研究の概要 |
(超)弦理論の演算子形式を用いて、non-zeroの値を持つ2点振幅の新しい理解に基づき、2点以下の低点振幅、および、n点(n>3)振幅を考え、弦の振幅についての理解を再構築する。一方、粒子の弾性散乱におけるエンタングルメント・エントロピーの定式化を発展させ、粒子の非弾性散乱で生じるエンタングルメントに関わる諸量を定式化する。そして、この粒子散乱のエンタングルメントと、弦の振幅の理解に基づき、弦の散乱によって生じるエンタングルメントを明らかにする。また、弦の低点振幅を非自明な時空上で調べることにより、その時空構造やエンタングルメントを理解する。
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研究実績の概要 |
関-高橋はこれまでの研究で、ゴースト数1を持つmostly BRST exact演算子を導入することで、世界面であるディスクが持つPSL(2,R)ゲージ対称性の一部を固定し、開弦のtreeレベル2点振幅を求めた。そこで、本年度は、この演算子を用いて、開弦の1-loop 2点振幅を考えた。1-loopの場合の世界面であるシリンダーには、ディスクと異なり、Z_2対称性と並進対称性がある。我々は、mostly BRST exact演算子を挿入することにより、これらの対称性を固定し、2点振幅を計算した。その結果は、従来の方法で計算した開弦1-loop 2点振幅と、符号因子を除いて、一致した。これは、mostly BRST exact演算子が、開弦の新しいゲージ固定法として、1-loopレベルでも有用であることを示している。 閉弦においてtreeレベル2点振幅を導出しようとすると、PSL(2,Z)ゲージ固定のために、mostly BRST exact演算子の他に、ゴースト数3の演算子が必要になる。このゴースト数3の演算子は、レベルマッチング条件を満たさないが、本研究によって、Fadeev-Popovの方法で、必ずしもその条件が必要ではないことを示した。さらに、閉弦のゲージ固定のために、ゴースト数2の演算子も新しく定義した。これを用いることによって、1個の閉弦タキオンと2個の開弦タキオンからなる振幅を求めた。その結果は、符号因子を除いて、従来のゲージ固定法による結果と一致した。 エンタングルメントに関する研究として、Peschanski氏(IPhT, CEA-Saclay, フランス)と、非弾性散乱における終状態2粒子のエンタングルメント・エントロピーの定式化も試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開弦の1-loop振幅と、ゴースト数3の演算子を含む新しいゲージ固定法による振幅の計算方法の開発は、概ね完成しており、数ヶ月以内には論文として発表されると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
我々が開発した新しいゲージ固定法を用いて、一般のn点振幅を求められるかを証明することが必要である。また、この手法を応用して、0点や1点振幅について考えたい。 同時に、散乱によるエンタングルメントについて、これらの知見をもとに、粒子散乱と弦の散乱の両方で調べていきたい。
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