研究課題/領域番号 |
22K03631
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
佐藤 勇二 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (50312799)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 弦理論 / 共形界面 / 弦双対性 / 非幾何学的時空 / 弦の場の理論 / 宇宙定数問題 / 二重場理論 |
研究開始時の研究の概要 |
量子重力理論の候補である弦理論は,時空を伝播する弦の描く世界面上の量子場の理論により記述される.弦のソリトンを与える共形(スケール)不変な境界をはじめ,世界面上で共形不変な対象は弦理論において基本的な役割を果たす.本研究は,共形境界の自然な拡張でもある共形不変な界面の弦理論における役割を明らかにすると共に,弦の非摂動効果,弦特有の対称性である弦双対性,宇宙項問題など基本問題への応用を通して,共形界面に基づく新たな視点・枠組みによる弦理論の研究を推進するものである.
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研究実績の概要 |
量子重力理論の候補である弦理論は,時空を伝播する弦の描く世界面上の量子場の理論により記述される.弦のソリトンを与える共形(スケ ール)不変な境界をはじめ,世界面上で共形不変な対象は弦理論において基本的な役割を果たす.本研究の目的は,共形境界の自然な拡張でもある共形不変な界面の弦理論における役割を明らかにすると共に,弦の非摂動効果,弦特有の対称性である弦双対性,宇宙定数(項)問題など弦理論に関わる基本問題への応用を目指すものである.
本年度は研究実施計画に従い,以前に我々が系統的に構成した模型に基づき,弦双対性 (T-双対性) に基づいたT-フォルドと呼ばれる非幾何学的背景中の弦の研究を進めた.特に,T-双対性でツイストされた弦を含む4点散乱振幅を厳密に閉じた形で求めると共に,ツイストされた弦を含む弦の間の結合が適当な単位で離散化されることなどを明らかにした.世界面においては,これらのツイストは共形界面により生成されると見なせる.我々の結果は,主に時空中の低エネルギー有効理論により研究されてきたT-フォルド中の弦のダイナミクスに関して,世界面の量子効果を全て含む(α'-exactな)初めての結果となっている.また,現実の非常に小さな宇宙定数が生成される機構の解明は,現代物理学の重要な問題の一つであるが,非幾何学的背景中の弦の模型に関するこれまでの我々の研究に基づき,ボソン-フェルミオン間の相殺がないにもかかわらず1ループで宇宙定数の消える粒子模型を構成する新たな機構を提示した.
本研究により,界面共形場理論という枠組みが弦理論の研究に導入され,新たな視点から弦理論に関わる基本問題の研究が進展すると期待される.弦理論は量子重力理論の最も有望な候補でありその研究が続いているが,本研究のような新たな視点からの弦理論の基礎研究は,弦理論研究の今後の発展の手掛りを探る上でも有用と思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画にある,T-フォルド模型の散乱振幅を求めT-フォルド中の弦のダイナミクスに関するα'-exactな新たな結果が得られた.また,研究計画を先取りし,宇宙定数(項)問題への応用に関して,ボソン-フェルミオン間の相殺がないにもかかわらず1ループで宇宙定数の消える粒子模型の新たな機構を提示し,具体的な模型を構成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い,T-フォルド中の弦の散乱振幅から共形界面が担う弦の情報や,T-双対性が顕わとなる弦理論の新たな定式化である二重場理論の量子補正(α'補正)を読み取るなど,今年度に得られた結果の応用を進める.また,宇宙定数の消える粒子模型の新たな機構に関して,相互作用が入った場合の模型の整合性を明らかにすると共に,高次ループへの拡張も行なう.
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