研究課題/領域番号 |
22K03632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
川村 嘉春 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (10224859)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 湯川結合 / 質量階層性 / フレーバー混合 / 創発性 / 沼地予想 / 余剰次元 / オービフォールド / ゲージ理論 / ウィルソンライン位相 / ゲージ同値類 / 超対称性 / 力の統一 / フレーバー対称性 |
研究開始時の研究の概要 |
素粒子の標準理論には様々な謎「なぜ、3種類のゲージ対称性を含むのか。なぜ、3世代の物質粒子が存在するのか。電弱スケールはどのように決まるのか。また、暗黒物質やインフラトンの正体は何か。」が残されていて、素粒子の基礎理論とは言い難い。これらの謎の解明と標準理論を超える物理法則の発見は最重要課題の一つである。本研究では時空および素粒子に関する従来の概念(超対称性、力の統一、余剰次元)の再検討、新しい概念の導入、必然性の追求などを通して、標準理論の枠組みの起源の解明、枠組みの拡張による暗黒物質やインフラトンの正体の解明、および標準理論を超える基礎理論の構築と基本的な構成要素の探求を目指す。
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研究実績の概要 |
素粒子の標準理論を超える理論を探究するために、標準理論の謎に着目することが常套手段である。 本研究では、「クォークの質量較差の起源は何か?」と「クォークのフレーバー混合の起源は何か?」に着目し、「創発性の提案(Emergence Proposal)」に基づいて、クォークの質量較差やフレーバー混合が説明できるかどうか調べた。ここで、創発性の提案とは「沼地予想」の1つで、「量子重力が支配的となる高エネルギー領域において、軽い粒子(標準理論のクォークやレプトンやゲージ粒子)は運動項をもたないが、重い粒子の寄与により、低エネルギー領域で軽い粒子の運動項が生成される。」という予想である。 本研究で得られた結果として、高エネルギーでクォークが「正準型の湯川相互作用項」を有し、「運動項」をもたないような作用積分から出発して、カルーツァ・クライン粒子とよばれる重い粒子たちによる量子補正を取り込むことにより、クォークが低エネルギー領域で非正準型の運動項をもつことがわかった。ここで、正準型の湯川相互作用項とは、湯川結合行列が単位行列であるような特殊な形のもので、運動項が存在しない場合は、クォーク場の再定義により実現される。そして、クォーク場にさらなる再定義を施すことにより、生成された非正準型の運動項を正準型に変えることができて、それに伴い正準型の湯川相互作用項が現実的な質量較差とフレーバー混合を有する形に変わることがわかった。この機構において、クォーク間の大きな質量較差はカルーツァ・クライン粒子間の比較的小さな質量較差に起因することが示された。また、このような特徴はレプトンセクターにも存在する可能性があり、レプトンの関するフレーバー構造の理解にも役立つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた内容を含む学術論文を作成し、学術雑誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、素粒子の標準理論の枠組みの起源(基本粒子の起源、電弱対称性とその破れの起源、湯川相互作用の起源、ゲージ相互作用の起源、運動項の起源など)を探究する。具体的には、超弦理論から導かれる4次元弦模型や沼地予想などから得られる知見をヒントにして、標準理論の謎の解明に挑む。
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