研究課題/領域番号 |
22K03640
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
千葉 剛 日本大学, 文理学部, 教授 (40324602)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 等価原理 / 重力理論 |
研究開始時の研究の概要 |
等価原理(自由落下運動の普遍性)は、アインシュタインによる一般相対論の構築の際に決定的に重要な役割を果たした。一方、重力を含む力の統一理論や重力理論の変更の可能性の観点から、等価原理が破れる可能性が指摘されている。本研究では、様々な宇宙観測による等価原理の破れに対する制限を、銀河の詳しい密度分布を考慮して与えること、および弱い等価原理を破る模型の構築とその実験的制限を与えること、を目標にする。
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研究実績の概要 |
弱い等価原理(自己重力の無視できる物体の自由落下運動の普遍性)により、時空には局所的に慣性系をとれ、重力は大域的に曲がった時空として実現されることになる。このように等価原理は物質と計量の結合の仕方を規定する。しかしながら、近年の宇宙の加速膨張の発見にともなう宇宙項問題にみられるように、真空のエネルギーも含めて物質と計量が universal に結合しているか疑念が生じてきている。実際、量子重力理論として有望な超弦理論では弱い等価原理が破れる可能性が指摘されている。そこで、弱い等価原理がどこまで正しいのか・どこかで破れている兆候はないのかを、あらゆる手段・方法で解き明かそうとするのが本研究である。令和4年度は特に量子論における等価原理の定式化に注目して研究を行った。 時間(秒)はセシウム原子の2つの超微細準位間の遷移振動数の逆数として定義される。 したがって、標準時計は「量子力学的な物体」である。最近になって、時計の(特殊)相対論的な固有時間の遅れに対する量子力学的な定式化がなされ、一方の時計の時間が計測された場合のもう一方の時計の時間の相対的な読みの表式が与えられた。そこで、この定式化を弱重力場に拡張し、古典論における重力による固有時間の遅れに対応する量子固有時間の遅れの特定の状態によらない一般公式を導出することに成功した。また、量子時計が重ね合わせの状態にある場合の時間の遅れにおける量子干渉効果についても解析し、干渉項に重力の効果が顕著に現れる条件を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
弱重力場中における量子場に対する弱い等価原理の定式化については、当初は、量子波束に対する固有時間の遅れの表式を得ることを想定していたが、特定の量子状態によらない表式を得ることに成功した。その一方で、弱い等価原理の観測的制限に関する研究は進行中であるが、解析結果がまだ得られていないため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、重力以外の影響下における量子時計の固有時間の遅れの問題に取り組みたい。例えば、磁場中に置かれた荷電した量子時計の進みの問題は、回転系における時計の進みの問題とも関連して非慣性系における時間の遅れの問題として興味深い。
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