研究課題/領域番号 |
22K03644
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 鈴鹿工業高等専門学校 |
研究代表者 |
正木 彰伍 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (80826280)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 銀河サーベイ / 大規模構造 / ダークマター / ダークエネルギー / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
様々な観測結果により、宇宙項暗黒エネルギーと冷たい暗黒物質を含む模型が標準的な宇宙模型として確立した今、暗黒物質と暗黒エネルギーの正体解明が大きな課題である。この課題解決に向け本研究では、超サーベイ密度揺らぎという超巨大スケールにまたがる物質密度の非一様性が、観測される銀河分布にどのような影響を与えるかを明らかにし、有史以来の疑問「宇宙の構成要素は何か?」の答えに近づこうとすることを目的としている。
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研究実績の概要 |
暗黒物質、暗黒エネルギーの正体を解明すべく、近年注目のサーベイ領域より大きなスケールでの物質密度の非一様性である「超サーベイ密度揺らぎ」由来の重力潮汐場(超サーベイ潮汐場)が宇宙の構造形成に与える影響を明らかにする。そのために申請者が世界に先駆けて開発したコードを用いて、超サーベイ潮汐場を考慮した宇宙の大規模構造形成シミュレーションを行う。観測結果の解釈に必要な基本的な統計量である物質・銀河の分布や銀河の形状のパターンに、超サーベイ潮汐場がどのスケールでどの程度の影響を与えるか明らかにし、それらの理論モデルを確立する。 2023年度は、観測の解釈に必要不可欠な要素である、観測された銀河とシミュレーション中のハローの関係性モデルの構築に昨年度から引き続き注力した。独自に開発したモデルが予言する銀河クラスタリングを、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam(HSC)掃天観測で得られた最新の観測結果と比べたところ、既存モデルでは再現できない場合でも我々のモデルでは観測結果をよく再現できることがわかった。この成果はMonthly Notices of the Royal Astronomical Society(MNRAS)誌にて出版済みである。加えて、我々のモデルが予言する銀河周りの物質分布もHSC観測の結果とよく一致することを発見した。この成果についても銀河クラスタリングと同様にMNRAS誌にて出版することができた。 以上の成果により、観測結果を解釈する上で不明瞭な銀河-ハロー関係に由来する不定性を低減することができ、超サーベイ潮汐場による影響を抽出することが可能となる。2024年度以降は超サーベイ潮汐場が観測量に与える影響の評価に注力できる。特に、銀河団ハローや銀河分布において疎な領域であるボイドの形状に着目する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは異なるが、最終的に不可欠な要素となる観測された銀河とシミュレーション中のハローの関係性について、既存モデルより良いモデルを構築することができた。クラスタリングと銀河周りの物質分布という多角的な検証をし、2編の論文を出版することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に戻り、超サーベイ潮汐場が宇宙の大規模構造にどのような影響を与えるかを明らかにする。超サーベイ潮汐場はより大きなスケールで、3次元形状に影響を与えると考えられる。そのため、宇宙で最大の自己重力天体である銀河団ハローや、最大の"構造"である銀河分布の疎な領域であるボイドの形状への影響を調べていく。
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