研究課題/領域番号 |
22K03654
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
今野 智之 北里大学, 理学部, 講師 (60751518)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 原子炉 / ニュートリノ / プラスチックシンチレータ / 原子炉ニュートリノ / シンチレータ検出器 / 原子炉監視 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は安全面から使用が限定される有機溶媒の液体シンチレータの代替として、 成型前のプラスチックシンチレータペレットを用いて安全面・コスト面の課題を解 決するニュートリノ検出器を開発する。検出器有感領域を微小なセルに分割し、粒子毎の反応過程の広がりから環境放射線ノイズを従来の1/100以下に削減する。本研究期間中に1辺 40cmの検出器試作機を制作し、研究用原子炉で主要なノイズ源となる高速中性子の観測から性能評価を行い、原子炉ニュートリノによるリアルタイム監視技術を確立する。
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研究実績の概要 |
原子炉内部で核分裂に伴って発生する反電子ニュートリノ(原子炉ニュートリノ)は極めて高い透過性を持ち、逆β崩壊反応を介して有機シンチレータ検出器により原子炉建屋外から観測できる。原子炉ニュートリノ観測量の変動をモニターすることでは原子炉稼働状況の遠隔監視や核燃料の不正利用防止が可能になると期待されている。しかし建屋外でのニュートリノ観測には環境放射線による背景事象の劇的な削減が不可欠であり、また既存の有機シンチレータ検出器では安全面やコスト面が課題となり実現できていない。本研究は安全面から屋外測定に使用できない有機液体シンチレータシンチレータに代わり固体シンチレータを採用し、数cm程度に分割した小型セルに充填することで観測粒子の反応過程をより詳細に観察することを可能にし、放射線による背景事象を従来の1/100程度まで削減することを目指している。 昨年製作した2㎝程度のプラスチックシンチレータキューブを使用した10cm程度の大きさを持つ小型セル集積検出器の試作機について動作検証を行った。強強度のコバルト-60γ線源を使用しγ線の照射試験を行った。γ線の散乱角を変えることで複数のエネルギーを観測し、エネルギー校正に成功した。また、2024年4月に東北大学先端量子ビーム科学研究センターにて1GeV陽電子ビームを使用した反応位置再構成の検証試験を予定しその準備を進んた。 並行して充填する固体シンチレータ材料を見直し、市販の透明エポキシ樹脂に蛍光剤としてPPOとBis-MSBを添加することでシンチレータとして動作することが判明した。配合量を最適化し、樹脂を充填する容器を3Dプリンタで作成したところ、通常のプラスチックシンチレータと同程度の発光量を観測することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度製作した小型セルを使った試作機を用いてエネルギー校正の手法を検証したところγ線源や電子ビームを照射することでニュートリノ反応で主に観測される1MeV前後のエネルギー領域で反応位置及びエネルギーの測定が十分な精度で可能であることが判明した。また充填するシンチレータにエポキシ樹脂が使用し、蛍光剤などの添加方法や成型方法などが確立できた多、検出器の実機サイズへの大型化の見通しがついた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の最終年度である2024年度は40cm程度まで大型化した試作機を製作し、放射線源や電子ビームを用いてエネルギー校正及び位置再構成精度の検証を行う。またそれらの検証結果を基に1mサイズまでの大型化に向けた設計を行う。これらの結果は秋に行われる国際会議Applied Anti-neutirno Physics workshopにて報告する予定である。
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