研究課題/領域番号 |
22K03664
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
|
研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
牧井 宏之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究職 (20425573)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 核分裂 / 複合核 / 核異性体 / ガンマ線分光 |
研究開始時の研究の概要 |
恒星進化の過程で鉄よりも重い元素がどのように生成されるかを理解するため、原子核が中性子を吸収して生成される複合核と呼ばれる状態がどのようにガンマ線を放出して脱励起する(冷える)かを調べる。本研究では複合核に相当する状態を一つの原子核が二つに分かれる、核分裂という現象を用いて生成する。核分裂では様々な中性子過剰な原子核が生成される特徴がある。核分裂でどのような複合核が生成されて、どのようなエネルギー分布でガンマ線が放出されるかを、核分裂片やガンマ線を計測することで詳しく調べ、原子核が中性子を吸収した後にどのように冷えていくかを理解することを目指す。
|
研究実績の概要 |
鉄よりも重い元素の中性子捕獲反応率は、星の中での元素合成過程を理解する上で重要な基礎データであるが、特に短寿命の中性子過剰な原子核では直接測定を行うことは現在の技術では不可能である。そのため、理論計算を用いて反応率を求めることになるが、中性子捕獲反応で生成される複合核のガンマ線等を放出して冷える過程(脱励起過程)の計算に不確かさが大きいため、高い精度で反応率を予想することも困難である。本研究では反応率の予測精度を向上するために必要になる複合核の脱励起過程の理解を進めるため、一度に多くの中性子過剰な複合核を生成することができる核分裂に伴って放出されるガンマ線を高精度で観測する手法の確立を目指す。このため、同一の核分裂事象で核分裂片(複合核)、複合核から直ちに放出される即発ガンマ線、複合核の脱励起過程で生成される核異性体から遅れて放出される遅発ガンマ線の同時計測を実現させる。 本年度は、即発ガンマ線測定用のLaBr3シンチレーション検出器からの信号を処理することができる既存のデータ収集装置に核分裂片や遅発ガンマ線測定用の半導体検出器からの信号を処理できる機能を追加する更新を行った。エネルギー分解能と耐放射線性を両立できる太陽電池を核分裂片検出器として使用することとし、キュリウム248の自発核分裂からの核分裂片やガンマ線を用いて測定を行い、太陽電池からの信号とLaBr3シンチレーション検出器からの信号を処理して、核分裂片と即発ガンマ線の同時計測に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はキュリウム248の自発核分裂からの核分裂片やガンマ線を用いた測定を行って核分裂片、即発ガンマ線及び遅発ガンマ線の測定してガンマ線計測システムの改良を行うことを目的としていたが、半導体をはじめとしたさまざまな部材の不足の影響を受けて測定準備に時間がかかり、核分裂片と即発ガンマ線の同時計測の成功にとどまった。そのため、当初の計画と比較してやや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、ガンマ線計測システムの改良を進め、キュリウム248(Cm-248)の自発核分裂からの核分裂片やガンマ線を利用して核分裂片と即発ガンマ線、遅発ガンマ線の同時計測を実現する。
|