研究課題/領域番号 |
22K03670
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 宜昭 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (60631116)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 銀河進化 / 銀河形成 / 高赤方偏移銀河 / 多波長観測 / 光学赤外線天文学 / すばる望遠鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
すばる望遠鏡の超広視野カメラHSCと多天体分光器PFSを用いた撮像・分光深宇宙探査は,高い感度で従来の10-100倍の広領域をカバーする革新的な超大型観測研究である.研究代表者らは先行するHSC撮像探査に基づき,赤方偏移z~4にある明るい遠方銀河の個数密度が近傍宇宙での観測から期待される関数形に対して超過している可能性を指摘した.このことは,遠方宇宙において銀河進化を理解する上で鍵となる星形成抑制フィードバックの効果が限定的であることを示唆しているが,HSC撮像だけでは大きな系統的不定性が残されている.本研究は残るPFS分光探査によって,撮像だけでは解決できないこの新たな課題に取り組む.
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研究実績の概要 |
今年度は,夏頃より少しずつ公開されたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による初期探査データをもとに選択された赤方偏移が9を超える高赤方偏移銀河候補について,それらの形態を調べた.具体的には,それらの静止系紫外光および可視光の高分解能NIRCam撮像データに対し,表面輝度プロファイルフィッティングを行なった.その結果,高赤方偏移銀河候補の表面輝度プロファイルはSersic indexが1.0から1.5程度のdiskyなSersicプロファイルでよく説明され,平均的なサイズ(半光度半径)は200パーセクから300パーセク程度しかないことがわかった.これは,過去にハッブル宇宙望遠鏡を用いて得られたやや低赤方偏移にある同程度の明るさの銀河に対する結果を赤方偏移方向に外挿したものと無矛盾である.また,高赤方偏移銀河候補の中に一天体,他の候補天体と比べてきわめてコンパクトなものがあることもわかった.この天体の銀河成分は,AGNの存在を仮定したフィッティングを行なってもコンパクトであり,その物理起源は興味深い.これらの結果を銀河形成の宇宙論的流体シミュレーションの結果と比較したところ,JWSTで見つかった銀河候補はきわめてコンパクトなものも含めて理論研究により自然に説明できることを示した.これらの成果をまとめた論文を査読雑誌に投稿し,研究会などで発表した.また,すばる望遠鏡の多天体分光器PFSによる分光深宇宙探査に向け,広視野カメラHSCによる最新データをもとに遠方銀河サンプルの更新にも貢献した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,HSC探査データの最新データをもとに遠方銀河の撮像サンプル構築に貢献した.それと並行して,JWST初期探査データをもとに高赤方偏移銀河候補の形態を明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
すばるPFS探査に向けてHSCによる遠方銀河サンプルを構築する.また,JWSTデータも引き続き取得されるので随時解析を進めていきたい.
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