研究課題/領域番号 |
22K03671
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茂山 俊和 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70211951)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 星周物質 / 超新星 / 水素輝線 / 大質量星 |
研究開始時の研究の概要 |
私たちの研究室で開発し、つい最近完成し公開した星周物質形成とその後の超新星爆発を計算する輻射流体計算コードを用いて、詳しい観測結果のある IIn 型超新星いくつかについて、詳細な比較を行い爆発に関するパラメータを特定する。どのような星がIIn型超新星になるかを明らかにしたのち、その星の質量放出機構について研究する。観測とモデルの比較から質量放出と超新星爆発の間の期間がわかるので、星の進化モデルに基づいてどの元素の燃焼段階が重要なのかを特定して、その時期の星の進化の力学的な側面を数値流体力学計算を行なって研究する。
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研究実績の概要 |
大量の星周物質と衝突して明るく光る超新星(IIn型)のスペクトル、とくに水素のHα線の形から爆発や星周物質についてどのような情報を引き出せるのかを調べるためにモンテカルロ計算を行なった。その結果から、青方偏移した輝線成分が衝撃波の速度の情報を持っていることを見出した。その他にも、星周物質の膨張速度の正の勾配があると吸収成分が現れることも示すことができ、高分散観測して得られたスペクトルと比較することで星周物質の形成機構のモデルに制限をつけられることがわかった。現在、論文を執筆中である。 私たちのグループで開発中のIIn型超新星の輻射流体シミュレーションを行う数値計算コードCHIPSで水素を含まずヘリウムが豊富にある星周物質の中で爆発した超新星(Ibn型)に対する計算が可能になった。これまでで最も詳しく観測されたIbn型超新星のモデルを構築中である。 大質量星内部で進化後期に起きる核反応でのエネルギー放出と星周物質形成の関係を調べている。酸素ネオン中心核を取り囲む球殻状領域でおきる炭素核燃焼、特に点火した直後に起きるflashについて研究している。その定式化と計算プログラムは出来た。また、似たような定式化が星の中心領域で核反応に点火した直後にも応用できることに気がついたので、従来のモデルでもエネルギー発生率が高いネオンの光分解で始まるネオン核燃焼段階に応用することにした。 星周物質形成に関わるいわゆるprecursor放射のモデルに水素の再結合の影響を考慮した。その結果をThe Astrophyiscal Journalに論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今のところ、予期せぬ困難にほとんど遭遇せずに進めている。光度曲線やスペクトル計算の結果は観測家の興味も引いている。やるべきことが新たに見つかってきて、発展期でもある。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には今の方針を継続する。星周物質形成機構と進化後期の核反応の関係については、準解析的な方法でどこまで行けるか見極めが必要だと感じている。光度曲線やスペクトル計算の方は観測家との共同研究に発展させたい。公開コードCHIPSのバージョンアップも行い、観測研究者でも使いやすいものにしたい。 超新星本体だけでなく、その前の星周物質形成に関わると思われるprecursorの光度曲線モデルも改良し、観測との比較から何が議論できるか整理していく。
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