研究課題/領域番号 |
22K03672
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 将郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20334245)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 星震学 / 恒星振動 / 恒星自転 / 主系列星 / かじき座ガンマ型星 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、「恒星の内部はどのように自転しているのか?」という長年の未解決問題について、星震学の手法を用いて検討することである。恒星の内部自転とその進化は、物質の混合過程と密接に関係し、中心部の核反応(元素合成)や星の寿命、表面の化学組成といった問題に大きな影響を及ぼす。最近星震学の手法が大きく発展し、自転の研究は新たな局面を迎えている。本研究では、かじき座ガンマ型脈動変光星という太陽の1.5-2倍の質量をもつ主系列星を対象とし、最新の観測で得られた高精度の振動周波数を独自の方法で解析することで、自転構造とその進化を明らかにし、恒星内部で起こる角運動量輸送の現場をとらえる。
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研究実績の概要 |
本研究の主目標は、かじき座ガンマ型脈動変光星という太陽質量の約1.5倍から2倍程度の質量をもつ主系列星の内部自転構造を解明し、その起源を調べることである。2023年度は本研究の一環として、いくつかの星についてその固有振動周波数のスペクトルを詳細に調べてみた。具体的には、すでに公開されているケプラー宇宙探査機の取得したデータを用い、固有周波数スペクトルの構造が自転の影響だけで説明できるかを検証した。その結果、特定の星については、自転では全く説明のつかない構造があらわれることが判明した。このような現象は、特にこの型の星については、これまで報告例がないため、大きな興味を持ち、(当初の研究計画には記載していなかったが)その原因について、詳しく調査することにした。特に一つの可能性として、恒星内部にある磁場による影響ではないかと考え、その可能性を詳細に調べ始めた。現在は磁場の影響を表す理論表式の解析が完了した段階である。次年度以降詳細に定量評価を行う予定である。 一方、別角度からの検討ということとで、本研究に関連して以下の2つの問題にも取り組んだ。一つは、太陽と同様の質量をもつ主系列星について、その自転、磁場構造を詳細に調べる方法を議論する研究に参加した。さらに、太陽そのものにも着目し、自転の影響を取り除いて、半径を見積もる方法を開発し、実際のデータに基づいて太陽半径の大きさを見積もることに成功した。以上の2つの結果については、査読つき論文として発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の当初の目標は特定のタイプの恒星の自転構造であるが、研究を進めていく過程で、自転では説明のつかない観測結果が明らかになった。この現象は従来知られておらず、重要な結果を生む可能性があると踏み、当初の予定にはなかった角度からの解析を実施した。結果的に、自転構造の解析は次年度以降に先送りとなったため、当初の計画よりも研究はやや遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の過程で思いがけず明らかになった、かじき座ガンマ型星の内部磁場を検出する可能性について、解析を進める予定である。これに加えて、当初の目的である自転構造の解明についての研究も継続していく予定である。
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