研究課題/領域番号 |
22K03677
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 洋一 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (70332757)
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研究分担者 |
大朝 由美子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10397820)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 星惑星形成 / 光学赤外線天文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、可視光や近赤外線の観測によってポストTタウリ型星の性質を明らかにし、知見の空白地帯である年齢数千万年の恒星の進化を解明する。そのために、「なゆた望遠鏡」に搭載する可視光分光器MALLSの高分散エッシェルモードのクロスディスパーザーを回折格子からプリズムに変更する。プリズムの一面を鏡面とすることで、その他の光学系の配置を変えることなくクロスディスパーザーを置き換えることができる。プリズムを使うと、いかなる波長でもオーダーの間隔がほとんど変わらない。そのために多くのオーダーを一度に取得することができる。その後、改良した分光器を用いてポストTタウリ型星を観測する。
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研究実績の概要 |
ヨーロッパの位置天文衛星Gaiaが観測した年周視差と固有運動のデータを用いて、Lindroos天体の周囲に若い星団を発見した。Lindroos天体とは、OB型主系列星の伴星として存在するFGK型星である。OB型星の主系列の滞在時間は数千万年と考えられるので、伴星の年齢も数千万歳であると考えられている。すなわちLindroos天体はポストTタウリ型星の有力な候補天体である。ところで、一般的には恒星は集団で生まれる。従ってLindroos天体を含む連星系の周囲には、同時期に生まれた恒星が存在する可能性がある。そこで、最新のデータベースであるGaia DR3で、連星の周囲1pc以内にある天体の年周視差、固有運動、可視光等級、可視光のカラーを調べた。このうち連星の主星と類似した固有運動と年周視差を持つ天体を星団候補天体とした。この結果、既知の散開星団であるIC2391領域においては、上記の手法を使って星団メンバーを選別することができた。また色等級図上で最新の恒星進化トラックを使うことにより、IC2391に属する天体は年齢が2000万歳程度であることもわかった。同様の手法により、既知のものも含めて15個の散開星団をLindroos天体の周囲で発見した。これらの星団のメンバーの多くはポストTタウリ型星である可能性がある。中には、すでに白色矮星となっている天体が星団のメンバーと認定されたものもある。この天体は主系列の時代には質量が非常に重く、進化が非常に速かった天体であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Gaiaの固有運動と年周視差のデータを使って、星団メンバーを同定する手法を確立した。この点は、計画を上回って進捗していると考えられる。一方で、ポストTタウリ型星の分光的特徴については、観測データを得ることができなかった。これは、観測に使用する予定であった「なゆた望遠鏡」の可視光分光器MALLSの新CCDカメラのノイズ低減に予想以上に時間がかかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
可視光分光器MALLSの新CCDカメラのノイズは、現在までに、年度当初の1/7以下に低減することができた。そこで今後は、この新しいカメラを用いてポストTタウリ型星のスペクトルを取得し、ポストTタウリ型星の分光学的な特徴を明らかにしたい。また、Lindroos天体の有無にかかわらず、近傍のOB型星の周囲に散開星団を探査することにも着手したい。
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