研究課題/領域番号 |
22K03685
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小林 かおり 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80397166)
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研究分担者 |
前原 裕之 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40456851)
尾関 博之 東邦大学, 理学部, 教授 (70260031)
森脇 喜紀 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (90270470)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 分子分光 / テラヘルツ / 電子遷移 / 星大気 / CaH |
研究開始時の研究の概要 |
太陽やM型矮星等におけるCaH分子の天文観測には可視光のA-X, B-Xの電子遷移が用いられてきた。CaHは多くの電子状態を有し、それらが複雑に相互作用しているために、遷移強度に異常が見られる。それらの全貌を実験室分光によって明らかにすることは、他の電子遷移の基礎データを与え、天文観測でのCaHの存在量や温度の正確な決定に不可欠なものである。 さらに相補的な観測として考えられる電波望遠鏡観測のために実験室マイクロ波・テラヘルツ波(遠赤外)分光による回転遷移の静止周波数を決定する。
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研究実績の概要 |
CaHは、100年以上も前に太陽やM型矮星等で既に見つかっている分子であり、星の分類にも使用される重要な分子である。簡単な2原子分子であるが、その電子状態は非常に複雑な分子であり分光学的にも長い研究の歴史を有するにもかかわらず、未測定、未解析の順位が多数存在している。このようなCaHの電子状態の解明は天文観測における分子の存在量や温度の正確な決定には不可欠なものである。また星間空間での観測にはテラヘルツ帯でのデータも不足している。本研究ではCaHの波長300nm(紫外)から3 mm(電波)までの観測に向けて、可視から紫外領域の電子遷移および電波・遠赤外領域の回転遷移の測定により分光学的基礎 データを与え、星大気の電波から紫外までの領域における観測とその理解に寄与することを目指している。 CaH分子のB2Σv=6状態はE2Πv=0状態とオーバーラップしておりスペクトルの測定が難しいが、ダブルミニマムポテンシャルのすぐ上のエネルギー状態でその形状を調べる為の重要な状態である。今回、電子遷移の吸収スペクトル、発光スペクトルを測定することによりその振動回転構造の同定を進めた。 マイクロ波およびテラヘルツ帯で測定した振動基底状態と第一励起状態の純回転遷移は中心周波数を再度精密に決定するようフィッティングを実施しているところである。 可視領域における天体でのシミュレーションを実施するために、ソフトウェアspectrumにを用いることとした。天体としては既にCaHが検出されている太陽黒点が強度も強く公開データのあるため対象として実施した。およそのスペクトル構造はシミュレーションによって再現できたが、子細に見ると波長にずれが見られるため、現在、この原因を追究している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
純回転遷移については解析をすすめており、電子遷移については、新しい状態の解明を進めている。天文の既存データとの照合用のシミュレーションも実施できたため、今後ずれの原因を解明できればその他の状態についても確認可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
CaHの電子遷移については、引き続きこれまでに測定したものの解析をすすめるとともに、精密測定が不十分な部分についての測定をすすめ、まだ明らかになっていない振動状態について解明を進める予定である。純回転遷移については、解析・投稿論文の準備に取り掛かる予定である。天体とのデータ照合については可視については太陽との照合を進めるとともに、電波天文の公開データを利用した照合の検討を始める予定である。
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