研究課題/領域番号 |
22K03686
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川中 宣太 京都大学, 基礎物理学研究所, 特定研究員 (60507838)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ブラックホール / 位置天文学 / 重力レンズ / 降着円盤 / 恒星進化 |
研究開始時の研究の概要 |
銀河系内はブラックホールが1億個程度存在すると考えられている。これらの位置と質量には、その元となる大質量星が進化の末に重力崩壊してブラックホールとなるまでの過程が反映されているはずであるが、現在知られている銀河系内ブラックホールは数十個程度にとどまっており、またその殆どは恒星との近接連星に偏っている。より多くの多様な銀河系内ブラックホールの探査とそれらの位置と質量を調べる、いわば「ブラックホールの人口調査」がブラックホール形成過程を探る上で重要であり、本研究ではその方法の確立を目指す。星・連星の進化過程や超新星爆発の機構の研究にも波及効果が期待できる。
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研究実績の概要 |
銀河系内ブラックホールのうち、これまで検出されているものの殆どは星と連星を組んで質量降着によって輝いているX線連星として観測されているものである。しかし、他にも質量降着を伴わないブラックホール連星や単独で存在するブラックホールも多く存在するはずである。これらのブラックホールもできるだけ多く検出することで無バイアスな銀河系内ブラックホールのカタログを作ることができ、ブラックホール形成過程に関するより一般的な手がかりが得られると期待できる。本課題初年度では(1)ブラックホール連星の位置・速度分布を種族合成計算から予言し、観測可能性を議論して論文にまとめる(2)星間物質を降着して輝く孤立ブラックホールの多波長スペクトルを計算し、観測可能性も考察して論文にまとめる(3)重力レンズの観測による孤立ブラックホールの検出数の期待値の計算とそこから推定できるブラックホール形成に関する情報について論文にまとめる、の3つの目標を掲げていた。(1)に関しては論文を2編投稿、うち1編受理となっており、目標は達成されたと考えている。一方で(2)(3)についてはいずれも議論はある程度進んだものの論文投稿にまでは至っていない。しかし(2)は関連する研究としてブラックホール降着流からのX線スペクトルの計算、ブラックホールへの大質量降着による周辺物質へのフィードバックに関する研究の2つが大きく進展した。また、(3)も既に計算結果は固まっており、論文執筆段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まずGaiaによる位置天文観測によってブラックホール連星を検出し、その位置と速度からブラックホールの形成過程に関する情報がどれだけ得られるかについては論文執筆まで順調に進み、投稿に至った。しかし、孤立ブラックホールへの質量降着に関しては共同研究が思うように進まず、やや方向の異なるテーマに切り替えて論文投稿を目指すことにしたために、当初予定していた課題については一旦保留となっている。また、孤立ブラックホールの重力レンズによる検出に関する研究は共同研究者との議論・計算は順調に進んでいたものの、年度末近くになって研究代表者・共同研究者ともに所属の異動があったため論文執筆が大きく滞ったことが原因で年度内の投稿に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ブラックホール連星の位置天文観測に関しては、まず今後打上予定の人工衛星 JASMINE による検出の予測を行い、論文にまとめる方針である。一方で Gaia によるブラックホール連星の検出報告が数例あるのでそれに基づいてブラックホール形成に関する推定を行い、余裕があれば論文にする。孤立ブラックホールへの質量降着については他の共同研究者を探し、当初の目的に沿った研究を実行することで2年目の間に論文投稿にまでこぎつけたい。孤立ブラックホールの重力レンズによる検出については論文投稿は2年目早々に可能と考えられる。続いて位置天文学的重力レンズの検出可能性についても議論する方針である。また、銀河系内ブラックホールの検出およびそこから探るブラックホール形成過程というテーマで国内研究会を開催する予定である。また、新型コロナウイルスの影響が十分小さくなっていれば、最終年度となる3年目に国際研究会の開催を目指している。
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