研究課題/領域番号 |
22K03687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永田 伸一 京都大学, 理学研究科, 助教 (30362437)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 偏光観測 / 太陽 / 電磁流体力学 / プラズマ / 粒子加速 / 偏光 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽フレアは、磁気リコネクションにより駆動されるエネルギー解放現象と考えられており、そのエネルギー変換過程の詳細を明らかにすることは、プラズマに満たされた宇宙の活動現象を統一的に理解するための重要な手段である。そして、加速領域のグローバルな磁場配位やプラズマ環境の時間発展を詳細に調べることができるという点に、太陽フレアの粒子加速研究の重要性がある。本研究では、京都大学飛騨天文台の太陽磁場活動望遠鏡で使用する撮像装置の高精度化を図り、空間分解能1秒角、時間分解能0.1 秒の観測を実現し、粒子加速現象に関係する磁気リコネクション領域の特徴的磁場構造と時間変動を明らかにすることを目指すものである
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研究実績の概要 |
2か年目は、初年度に搭載した高速撮像カメラに対応する高速偏光変調装置の開発を行った。初年度の試験観測結果から露光時間と撮像レートの調査を実施し、観測時の撮像レートを80fpsと見積もった。与えられた撮像レートの下で最大の観測効率で偏光変調を行うためには、波長板の1回転ごとに16回の撮像が必要とされる。このためには、80/16=5rpsの回転速度が必要とされる。この回転数は既存装置の最大値約2rpsを超えているために、高速回転可能な中空モータの市場調査を実施した。時間と予算の制約の中で、望遠鏡機械系改修規模を最小にとどめる観点から、旭実興産のステッピングモータ(HSM-6017G)を選定した。なお、この検討の際に改めて実施した光線追跡により、波長板設置予定位置での光線の広がりは口径28mmの程度にとどまっており、口径40mmの波長板に対して余裕があることが分かった。このために、カタログ品で調達可能な中空径32mmのモータを用いることができた。さらにモータと回転波長板の取付機構、モータの望遠鏡への取付機構を新規に開発した。水晶と基板の張り合わせによる回転波長板については既存とは別に、予備品を有しており、これらの性能評価を行った結果、既存品を使用することにした。モータの回転による発熱が懸念材料であったが、望遠鏡内とほぼ等しい雰囲気温度25度の室内実験において5rpsでは40度程度にとどまることを確認した。さらに、既存の観測ソフトウエアを新モータ対応に改修したうえで、新モータを望遠鏡に搭載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置の更新は完了している。観測ソフトウエアの改修作業に若干の遅延が生じているものの、おおむね順調に進捗している。3か年目の前半に観測装置は整い、本観測を開始できる見込みである。太陽活動は活発化してきており、定常観測を開始することにより高精度の光球磁場データの取得が可能になると考えられる。またSMART望遠鏡に同架するSolar Dynamic Doppler Imager(SDDI), Flare Imaging System in Continuum and Hα(FISCH)も順調に稼働しており、同時観測データの解析による太陽フレア発生機構の研究推進には問題はないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
新モータに対応する観測ソフトウエアの調整を進めて、梅雨明け以降に本格観測に移行する。SMART望遠鏡は自動観測を実現しており、観測ソフトウエアの調整が完了後は、データ解析に専念していく。
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