研究課題/領域番号 |
22K03688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
須田 拓馬 東京工科大学, 教養学環, 講師 (90374735)
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研究分担者 |
本田 敏志 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (20425408)
斎藤 貴之 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (40399291)
森谷 友由希 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (60722949)
茂山 俊和 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70211951)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 連星進化 / 金属欠乏星 / 超新星 / 恒星進化 / 元素合成 / 大質量星 / 連星探査 / 化学進化 / 連星 / 初代星 / 重力波 / ブラックホール |
研究開始時の研究の概要 |
大質量星は、その多くが連星系をなしており、進化段階の最後である重力崩壊型超新星爆発を理解することで様々な情報を引き出すことができる。本研究では宇宙で最初に誕生した星(初代星)の中には、連星系における超新星の爆風を受けた小質量星の生き残りが存在しているという仮説を理論・観測の両面から検証する。理論研究では、初代星連星における超新星の爆風が伴星の小質量星に衝突した影響を流体計算を用いて調べる。観測研究では、大質量星と小質量星からなる連星系の周期と質量比を見積もり、超新星連星仮説を支持する連星系の探査を行うとともに、重力波起源天体となるような、伴星がブラックホールである連星の調査も同時に行う。
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研究実績の概要 |
本研究の主要テーマである、重力崩壊型(II型)超新星爆発の爆風を受けた超金属欠乏星の表面に爆風の残骸が降着する影響及び、恒星表面の元素組成分布の変化の可能性について検討してきた。本研究では、宇宙で最初に誕生した星(初代星)の中には、連星系における超新星の爆風を受けた小質量星の生き残りが存在しているという仮説を理論・観測の両面から検証する。 本研究は、(1) SPH法を駆使した超新星爆風と恒星の相互作用の多次元シミュレーションの実行(理論研究I)、(2) 観測データとの比較による金属欠乏星の起源の検証(理論研究II)、(3) 大質量星と小質量星あるいは大質量星とコンパクト星からなる連星系の探査(観測研究)、からなる。 大質量星とコンパクト星からなる連星系の探査によって連星周期が定まったHD 93521について、三重連星起源である可能性が浮上し、その仮説の検証を開始した。この仮説が正しければ、重力波起源天体の形成過程に重要な制限を与えることになるため、理論・観測の両面から仮説を補強するべく、議論を重ねている。理論面では、三重連星系が誕生した銀河面上の位置の特定、連星合体に必要なタイムスケールの見積もり、伴星が主系列星であるかコンパクト星であるかの特定、といった課題が残っている。観測面では、すばる望遠鏡による追観測を検討したが、既存の装置では検証することができないと判明し、プロポーザルの申請を断念した。 なゆた望遠鏡を用いた連星探査は、令和5年度も観測提案が採択され、探査を継続している。令和6年度前期についても連星探査の観測は採択されたので、引き続き観測と解析を続行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの連星観測によって連星周期を決定したHD 93521の起源について議論を継続した結果、銀河円盤において三重連星として誕生し、現在は大質量星とコンパクト星からなる連星へと進化した可能性が出てきた。三重連星起源仮説が正しければ、重力波起源天体の形成過程に重要な制限を与えることとなり、本課題の重要な成果となる。そのため、すばる望遠鏡を用いた追観測の可能性や連星の軌道進化といった検討を開始した。ただし、すばる望遠鏡による追観測については、既存の装置では検証することができないことが判明し、プロポーザル作成段階で断念した。また、予算申請時に予定していた岡山の188cm望遠鏡による観測は望遠鏡の故障が継続しており、観測を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
HD 93521の起源について検討を続け、論文としての出版を迅速に行う。必要に応じてシミュレーションの実行や新規の観測提案を選択肢に入れる。 なゆた望遠鏡による連星探査は令和6年度前期も採択されたので、観測と解析を継続する。新たな連星候補となる大質量星を観測対象とし、連星周期の決定を目指す。 HD 93521に対する三重連星仮説の検討項目として、三重連星系が誕生した銀河面上の位置の特定、連星合体に必要なタイムスケールの見積もり、伴星が主系列星であるかコンパクト星であるかの特定、といった課題が残っている。これらを理論モデルやシミュレーションによって解決することを目指す。 岡山の望遠鏡が次年度の復旧を目指しており、可能であれば高分散分光観測による視線速度変動のモニタリングを実施する。
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