研究課題/領域番号 |
22K03693
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
山田 亨 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (90271519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 活動銀河核 / 超巨大ブラックホール / 銀河の形成と進化 / 変光観測 / シード・ブラックホール / 銀河とブラックホールの共進化 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では、可視光・広視野深宇宙探査によって得られた、rバンドで26AB等級の深さに達する非常に深い多色変光観測に基づいて、赤方偏移 z=1 を越える高赤方偏移の低光度AGNサンプルを構築し、とくに、銀河ブラックホール共進化の観点で重要と考えられる100万-1000万太陽質量という低質量の銀河ブラックホール天体についてその性質を解明するための研究を行うものである。これによって、形成途上の楕円銀河や、天の川銀河のような円盤銀河バルジにおける巨大ブラックホール形成および銀河との共進化の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
すばる望遠鏡変光サーベイ観測に基づいて同定された活動銀河核約450個の独自サンプルについて、すばる望遠鏡、Keck 望遠鏡、SDSS望遠鏡などのアーカイブデータを解析することにより、約100天体あまりについて幅の広い輝線を持つことから巨大ブラックホールが存在すること、またその速度巾および光度の測定結果に基づきブラックホール質量を求めることができた。変光サンプルを用いることで基本的に幅の広い輝線領域が隠されない1型の活動銀河核をみていることになるので、直接質量測定を進めることができる点がこのサンプルの強みである。中間赤方偏移、高赤方偏移において10^6太陽質量台の天体を含む低質量ブラックホールの同定に成功した。また、スペクトル解析ソフトCIGARE を用いて天体スペクトルを銀河成分および活動銀河各成分によりフィッティングを行い、星質量を推定する解析を行った。このように、はじめて、中間赤方偏移・高赤方偏移で低質量ブラックホールまで銀河の星質量とブラックホール質量の関係を調べることができた。本成果については申請者が指導する学生の修士論文としてとりまとめたほか、2022年秋季および2023年春季の日本天文学会年会においてその成果を報告した。 またこの研究と並行して、せいめい望遠鏡をもちいて、合体途上にあると考えられるバイナリ・巨大ブラックホール候補天体 SDSS J143016.05+230344.4 の分光観測を遂行した。観測は2022年4,5,7月に行い、この期間における幅の広い輝線フィーチャーの時間的な変化について調べることができた。観測成果については2023年春季の日本天文学会年会にて報告を行っている。 さらに、Roman 望遠鏡における変光観測に基づく低質量AGN 観測検討については検討に基づいて NASA Roman 計画が募集する Science Pitch に提案を行いその意義を主張するなどの活動を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変光サンプルの質量分布の測定については予定通り進めることができた。また合体ブラックホールについての研究を活性化させることができた。Roman望遠鏡観測の検討についても端緒についた。すばる望遠鏡による新たな分光観測提案が採択されなかった。
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今後の研究の推進方策 |
合体途上のブラックホール、変光サンプルについての星質量とブラックホール質量の関係についての解析をさらに進めて新たな知見については、順次、学術論文としてとりまとめる。変光サンプルの拡大、新たな分光データの取得に基づく研究を進める。また、Roman 望遠鏡での研究計画のさらなる具体化を進める。
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