研究課題/領域番号 |
22K03697
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
天野 孝伸 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00514853)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 宇宙プラズマ / 衝撃波 / 粒子加速 / 宇宙線 / プラズマ波動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では宇宙空間の衝撃波における高エネルギー電子加速の問題に取り組む.統計的衝撃波ドリフト加速モデルの考え方に基づき,理論的な電子エネルギースペクトルの数値計算コードを開発し,第一原理数値シミュレーションと人工衛星による観測データ解析とを組み合わせることで,電子注入の理論モデルとして確立する.これによって長年未解決であった衝撃波電子加速における注入問題の解決に向けた研究を行う.
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研究実績の概要 |
地球のバウショックにおける高周波ホイッスラー波と衝撃波パラメータの関係を、MMS衛星データを用いて統計的に調べた.その結果,衝撃波遷移層内のホイッスラー波強度はAlfvenマッハ数と正の相関を持つことが分かった.理論的にはde Hoffmann-Teller系で定義したAlfvenマッハ数が重要になるが,このパラメータと波動強度の間にも強い正の相関が見出された.理論から統計的衝撃波ドリフト加速に必要とされる波動のしきい値との比較から,この値が30-60を超えると粒子加速が効率的になると予測される.これは過去の研究で示されている電子加速効率と衝撃波パラメータ依存性と整合的で,地球バウショックの電子加速が統計的衝撃波ドリフト加速によって説明できることを意味する.さらに,これとは独立に実施した海外の研究者との共同研究からも理論と整合的な結果が得られている. また,波動の励起メカニズムについても議論し,高ベータのプラズマの方が波動励起に有利な可能性を示唆した.理論的にも波動励起メカニズムについての検討を行い,観測と整合的な予備的結果を得ている. よりマッハ数の高いパラメータ領域ではホイッスラー波ではなく,ワイベル不安定性に伴う波動が励起され,電子の散乱,ひいては加速に寄与すると考えられる.このパラメータ領域においても不安定性の検討を進め,イオンが駆動する不安定性にもかかわらずよりスケールの小さい電子が重要な役割を果たすことを理論および数値シミュレーションから明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
観測データ解析からは理論と整合的な結果が得られており,大きな進展があったと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
観測データ解析から示唆された波動励起機構を明らかにする方針である.さらなる詳細な観測データ解析も想定しているが,理論解析や数値シミュレーションにより焦点を絞って研究を進める.
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