研究課題/領域番号 |
22K03698
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中本 泰史 東京工業大学, 理学院, 教授 (60261757)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | コンドリュール / 微惑星 / 惑星形成 / 雷 |
研究開始時の研究の概要 |
惑星は微惑星が集積して誕生した。原始太陽系星雲中の固体粒子が集まり,微惑星が形成される。ところで,固体粒子の空間密度が高い領域では雷が発生しやすい。雷によってその場の固体粒子が加熱されると,隕石中に見られるコンドリュールが形成される可能性がある。本研究ではこうした可能性を理論的に調べる。固体粒子の高い空間密度を実現する場としての微惑星形成と,雷によるコンドリュール形成を結びつけるのは,本研究独自の視点である。本研究の結果はコンドリュールおよび微惑星の形成過程に対して非常に大きな示唆を与え得る。それはまた,惑星形成シナリオ全体に対しても大きなインパクトを及ぼすものになるだろう。
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研究実績の概要 |
本研究は,「コンドリュールは微惑星形成に伴って発生する雷によって作られたのか」という問いに一定の答を出すことを目指している。その答を得るために,2つの中目標を設定している。すなわち,(中目標1) 種々の微惑星形成過程において,固体粒子の動きを調べて雷の発生可能性および発生する雷の特性を明らかにする,(中目標2)各環境で発生する雷により加熱を受けた固体粒子の特性を調べ,天然コンドリュールの観察・分析結果と整合的かどうかを調べる,である。研究初年度(2022年度)は2つの中目標それぞれに取り組み,いずれにおいても一定の成果が得た。
(中目標1)に関しては,最初の対象として,原始太陽系星雲中のダスト層の重力不安定によって微惑星が形成される場合を調べた。形成中の微惑星の周囲に存在する固体微粒子の運動を計算し,それらの間の衝突とそれによる帯電,そして電荷分離が起こる様子を調べた。さらに,その結果を基にその場に発生し得る電場を求めた。その結果,この状況で雷(絶縁破壊)が比較的容易に起こることが明らかになった。この成果は,論文にまとめて投稿中である。
(中目標2)に関しては,具体的な雷が発生した後を考え,その場にあった固体粒子が受ける加熱や冷却,それら固体粒子の温度変化,および動きなどを調べた。ここでは,発生した雷の太さや雷電流で生じた高温ガスの初期温度などをモデルパラメータとした。その結果,適切な状況では,コンドリュールの観察・分析から推定される温度変化と整合的な温度変化の結果が得られることが明らかになった。これは,従来の定説であった「雷で加熱された場合は温度変化は合わない」という理解を覆す結果である。この成果は,学術論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設定した中目標2つに対してそれぞれ研究を進め,期待通りの成果が得られた。 今のところ,研究の推進に対する特段の問題は見られず,今後も引き続き,研究を推進していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,着々と研究を進めたい。より具体的なプランは次の通り。
中目標1に対して:原始太陽系星雲ダスト層の重力不安定による微惑星形成とそれに伴う雷生成については,成果をまとめて学術誌に投稿した。引き続き,別のメカニズム,すなわちストリーミング不安定によるダスト密度上昇と雷生成・コンドリュール形成の可能性を検討する。
中目標2に対して:コンドリュールに含まれている揮発性成分の保持に関する検討を行う。具体的な状況を想定し,加熱を受けた粒子中の揮発性成分(S, Naなど)の蒸発・凝縮などを計算し,天然コンドリュールの保持状況と比較する。温度変化のみならず,揮発性成分保持の観点から,モデルの可否を調べる。
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