研究課題/領域番号 |
22K03703
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大塚 史子 九州大学, 総合理工学研究院, 学術研究員 (10418808)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 電子加速 / 地球バウショック / 準垂直衝撃波 / ホイッスラー波動 / 無衝突衝撃波 / 数値シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
地球バウショック(地球磁気圏衝撃波)の準垂直衝撃波側では、ベキ乗のエネルギースペクトルを持つ非熱的電子が人工衛星によるその場観測で直接捉えられているが、その加速機構には未解明な点が多い。本研究では、従来と比べ圧倒的な高時間分解能を誇るMMS衛星との比較に耐える高精度の衝撃波シミュレーションを行い、MMS衛星で得られる電子分布関数や衝撃波遷移層の微細構造とシミュレーションデータを直接比較することで、電子加速機構を解明し、その加速機構を体系的に理解する。
|
研究実績の概要 |
地球バウショックの準垂直衝撃波側では、ベキ乗のエネルギースペクトルを持つ非熱的電子が人工衛星によるその場観測で直接捉えられているが、その加速メカニズムの詳細は明らかでない。本研究では、従来と比べ圧倒的な高時間分解能を誇るMMS衛星との比較に耐える高精度の衝撃波シミュレーションを行い、電子が電磁場構造・波動とどこでどのような相互作用を経て、ベキ型の電子エネルギースペクトルを生成するにいたるのか、その過程を解明することを目的としている。
本年度は、1次元全粒子計算による衝撃波シミュレーションを行い、衝撃波再形成過程に伴い、衝撃波遷移層前面に突発的に生成される高エネルギー電子の詳細な軌道解析を行い、種々の加速メカニズムの寄与を定量的に評価した。その結果、衝撃波遷移層内に励起された定在ホイッスラー波動が電子加速に最も寄与することを明らかにした。電子は、定在ホイッスラー波動の磁場変動がもたらす微細構造に捕捉されている間に、ホイッスラー波動の静電場成分とのランダウ共鳴によって、効率よく加速される。
地球バウショックの準垂直衝撃波の遷移層内でホイッスラー波動が電子散乱に寄与することが、MMS衛星による観測的証拠として報告されている(Oka et al, 2017, 2019)。本年度の高解像度数値実験で得られた、定在ホイッスラー波動による電子の局所的な加速メカニズムは新しく、本成果はホイッスラー波動と電子加速の関係性を観測的に検証するための足がかりとなり得る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、衝撃波遷移層内の定在ホイッスラー波動が高効率な電子加速に寄与することを定量的に示した点が成果である。着目した衝撃波面で反射する電子の加速メカニズムとして、(1)衝撃波ドリフト加速、(2)衝撃波ポテンシャルによる加速、(3)磁場の時間変化に伴うベータトロン加速が挙げられる。それに加え、今回新たに示した(4)ホイッスラー波動による加速がある。これら4つの加速モデルを定量的に分離するために試行錯誤し、成果が得られるまでに予想以上の時間を費やした。現在、本成果を取りまとめた論文を執筆中であるが、まだ論文投稿に至っていない。ホイッスラー臨界マッハ数に対して加速効率を整理するためのパラメータサーベイの全粒子計算の実施は概ね完了しており、現在はデータ解析中である。以上より、研究進捗状況はやや遅れていると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
2年度目は、ホイッスラー波動による電子加速の成果発表を早急に進めるとともに、1年度目で取得した全粒子計算データの解析を進め、ホイッスラー臨界マッハ数と電子加速効率の関係性を明らかにする予定である。また、これらの結果を踏まえ、計算モデルを2次元に拡張する予定である。2次元に拡張された場合、衝撃波面方向のリップル構造などが現れ、電子加速メカニズムも複雑になることが予測される。1次元計算のパラメータサーベイによる結果を踏まえ、パラメータ選定を行い、1次元と同様な電子軌道解析を行う。
|