研究課題/領域番号 |
22K03714
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
杉本 周作 東北大学, 理学研究科, 准教授 (50547320)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 黒潮大蛇行 / 黒潮流速変化 / 降水量 / 豪雨 / 温暖化 / 降水 / 数値シミュレーション / 黒潮続流北偏 / 海洋熱波 / 海洋物理 / 黒潮 / 気候変化 / 水塊 |
研究開始時の研究の概要 |
世界の海に比べて日本周辺の海面水温は約2倍の速さで上昇しており、我が国を襲う気象災害の増加・激甚化が懸念されている。この急速な海水温上昇を理解するには黒潮の温暖化を真に明らかにすることが重要であるが、現在の気候学研究ではデータ長と解像度の制約により実現できていない。本研究課題では、高解像度で温暖化実験を行った気候モデルの出力値を分析することで、黒潮温暖化の物理機構を流速変化から解明し、その将来変化を世界で初めて提示する。そして、気候シミュレーションを実施することで、異常天候への黒潮温暖化の影響を評価し、地球温暖化・黒潮・気象災害リスクの観点から変わりゆく気候系について新たな解釈を提示する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、(1)観測資料・最新鋭気候モデル出力値をもとに黒潮の長期変化およびその物理機構の解明、(2)日本周辺の顕著な海面水温上昇の要因の同定、(3)気候シミュレーションを実施することで日本の異常天候への黒潮温暖化の影響を評価することである。現在、上記3項目を並行して実施ており、本年度に得られた各項目の研究実績の概要は次の通りである。 (1)黒潮変化:昨年度の観測資料解析結果の妥当性を検証するために、気象庁気象研究所が作成した渦分解海洋モデルによる歴史実験出力値・将来気候予測値を収集し、解析フォーマットへの変換作業を行った。観測資料解析結果と同様に、黒潮流速の強化傾向が同定された。現在、その要因として主水温躍層の浅化の影響の検討を開始した。 (2)日本周辺海面水温上昇:2017年夏から始まった黒潮大蛇行に伴い発生した関東・東海沖沿岸昇温を解析対象とし、衛星観測資料を用いて昇温の持続性およびその振幅について調べた。その結果、大蛇行期間の60%以上の期間で沿岸昇温が発生していること、その振幅が約3度と非常に大きいこと、そして海洋熱波に分類されることなど統計的な特徴を明らかにした。 (3)沿岸昇温に起因した夏季東海地方の降水量増加:(2)で見出した関東・東海沖沿岸昇温が日本の夏季降水量に及ぼす影響を定量化するために、領域大気モデルを用いた数値シミュレーションを実施した。その結果、沿岸昇温に伴い大気下層の水蒸気が増加し、これにより潜在的対流不安定状態が励起され、降水量が増加することを見出した。そして、黒潮大蛇行(沿岸昇温)により、東海地方の降水量が約1.5倍も増加することを明らかにした。本項目の成果については、日本気象学会秋季大会などで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、気象庁気象研究所作成の高解像度海洋モデルによる将来海洋予測データを入手し、解析フォーマットへの変換作業を行いつつ、日本周辺で発生している海洋顕著現象に注目しながらスーパーコンピューターによる気候シミュレーションを行った。その結果の1つとして、黒潮変化により発生した関東・東海沖の沿岸昇温により、日本の降水量が約1.5倍も増加することを発見した。 2024年4月には国際学術誌に論文を投稿予定であり、成果は着実にでている。以上より、実施計画は概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ本研究は概ね順調に進展しており、今後も実施計画どおりに進める。研究計画に関して特段の変更は必要としていない。現在進行形で発生している海洋顕著現象と黒潮の関係にも着目することで、本研究課題の発展的解析にも取り組んでいくことを計画している。
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