研究課題/領域番号 |
22K03715
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
岩崎 博之 群馬大学, 共同教育学部, 教授 (70261823)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 落雷 / 一発雷 / 冬期雷 / エネルギー |
研究開始時の研究の概要 |
冬期雷には非常に大きな落雷エネルギーを持つ場合があり,その落雷エネルギーの大きさを決める要因について知見を蓄積することが,この研究の目的である.先ず,気候学的な研究手法を使って,どのような地理的な条件/総観場の条件で,落雷エネルギーの上位10%と下位10%の冬期雷が発生しているのかを明らかにする.抽出された強い/弱い落雷エネルギーをもたらした積乱雲について,偏波レー-ダーのデータを使って,その構造・時間変化と霰の3次元分布の特徴を調べ,落雷エネルギーの大きさを決める要因について考察する.そして,それらの知見を,GPM衛星データを使った全球雷気候学への発展を試みる.
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研究実績の概要 |
「一発雷」の一般的な特徴を理解するために,全球落雷データと国内商業落雷データを使った気候学的な調査を行った. 先ず,全球落雷データから,個々の落雷について,落雷地点から半径10km の範囲に,落雷時刻から±15 分の期間に検出された落雷(正確には,stroke)の個数を求め, 落雷密度(strokes/unit/30min) を定義した,落雷密度が1 の落雷を「一発雷」と見なした.全球規模でみた落雷エネルギーの平均値は,一発雷が最大を示し,落雷密度が増加するにつれて落雷エネルギーは小さくなる傾向が見える.しかし,すべての一発雷の落雷エネルギーが大きいわけではなく,北東太平洋の一発雷のエネルギーは低い傾向にあった.海洋上のエネルギーの高い一発雷は夜間に,弱い一発雷は日中に発生し易い傾向があった. 次に,日本列島の一発雷について,落雷の極性が判別できる商業落雷データを利用して解析を行った.全球落雷データに比べて,小規模な落雷も検出されるため,「±30分間の時間内に半径30km以内の範囲で,雷撃が検出されていない落雷(正確には,stroke)」を一発雷と定義した.夏期の関東地方の落雷の正極性落雷の占める割合は18%であるが,一発雷の44%が正極性落雷であった.また,負極性落雷の一発雷に伴うピーク電流値は,通常の負極性落雷と有意な差はないが,正極性落雷の一発雷では通常の正極性落雷に比べて約1.5倍のピーク電流値を示した.このように,通常の落雷と一発雷では落雷の特徴が異なり,発雷メカニズムが異なる可能性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
北陸地方の冬期雷を研究対象としているが,1年目に予定していた冬期雷の気候学的な解析が充分に行えていない.その理由は,次の2つのテーマを追加したためである. テーマ1)冬期の一発雷の特徴を明らかにするためには,夏期の一発雷の特徴と比較する必要性を感じたため,予定にはなかった夏期の関東地方の解析を加えた. テーマ2)北陸の冬期雷に伴う高高度発光現象(スプライトとエルブス)が市販のwebカメラで撮影できることが分かり,一発雷と高高度発光現象との関係を解析するために,観測・解析手法の確立に予想以上の時間が掛かった.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,先ず,冬期の一発雷の気候学的な解析を行い,夏期の一発雷の特徴と比較を行う.次に,全球規模の一発雷気候学と日本周辺の夏期雷・冬期雷の一発雷気候学の解析結果を論文にまとめて学術雑誌に投稿する.更に,北陸の冬期雷に伴う高高度発光現象の観測を行い,一発雷との関係を明らかにする. 3年目には偏波レーダを用いた一発雷の事例解析を行うので,一発雷の気候学の知見をを基に,解析事例の選定を行う.
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