研究課題/領域番号 |
22K03716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
小橋 史明 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (80377077)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 亜熱帯モード水 / 水温躍層 / 混合層 / 十年規模変動 / 気候 |
研究開始時の研究の概要 |
観測,再解析,数値モデルのデータの複合的解析により,北太平洋亜熱帯モード水の十年規模変動が表層水温と気候に及ぼす影響を明らかにする.まず,亜熱帯モード水による季節躍層変位のメカニズムを解明し,季節躍層変位とモード水の再出現現象が混合層水温変動に与える影響を定量的に評価する.次に,亜熱帯モード水が,海面水温の変動を通して,北太平洋の大気と気候に与える影響を明らかにする.
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研究実績の概要 |
黒潮続流南側の海域では,冬季の強い海面冷却により厚い混合層が発達する.この混合層の海水は,亜熱帯モード水として水温躍層に沈み込み,亜熱帯北西部の数百mの深さに広く運ばれている.本研究では,亜熱帯モード水の十年規模変動に着目して,亜熱帯モード水分布域における表層水温偏差の形成メカニズムと,亜熱帯モード水が混合層を通して,北太平洋の大気に与える影響を明らかにすることを目的としている. 本年度は,渦解像海洋モデルに基づく長期海洋再解析データ(FORA-WNP30)を解析し,亜熱帯モード水の十年規模変動と表層混合層に与える影響を調べた.黒潮続流域の冬季混合層は明瞭な十年規模変動を示し,混合層が厚く発達する年に,厚いモード水が形成されて,亜熱帯海域に広く運ばれる.この厚いモード水は,モード水の上部を覆う上部水温躍層を持ち上げ,表層全体の水温を低下させることがわかった.混合層も,晩夏を除く春季から秋季にかけて,亜表層と同様に水温が低下する.そこで,混合層の熱収支解析を行い,混合層水温の変動過程を診断した.その結果,FORA-WNP30では,観測データの同化による海洋モデルの修正が,混合層水温の変動に大きく寄与していることがわかった.同化による修正は,混合層底部における鉛直拡散と混合層深化時の混合層下からの海水の取り込み(エントレイメント)を強めるように作用する.したがって,鉛直拡散とエントレイメントがモード水に起因する亜表層の水温偏差を混合層へ伝える働きを担っていることが示唆される.さらに,モード水による上部水温躍層の持ち上げは,混合層下の成層強度を強め,夏季の混合層深度の十年規模変動にも影響を与えていることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,観測,再解析,数値モデルの種々のデータを解析して,亜熱帯モード水と混合層の変動の関係を見出し,その物理メカニズムを調査する予定だった.数値モデルの解析は未着手であるが,観測と再解析のデータ解析から概ね同じ結果を得ることができたため,再解析データの解析に注力し,成果を得ることができた.したがって,研究の進捗状況についてはおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施できなかった数値モデルのデータ解析を行う.数値モデルには,観測データが同化されていないため,本研究が対象とする現象の再現性が確認できれば,混合層水温の変動過程を明示的に特定できると期待される.さらに,実施計画に従い,大気への影響に関する研究にも着手する.学会等で成果を積極的に発信し,関連する研究の情報を収集し,研究を推進していく.
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