研究課題/領域番号 |
22K03724
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
橋本 明弘 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 室長 (20462525)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 素過程追跡スキーム / 雲微物理モデル / 氷晶 / 降雪粒子 / 過冷却雲粒 / 雲粒寄与率 / メソスケールモデル / Rainscope / 雲微物理 / 降雪 / 数値シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
自然界に出現する雲・降水の中の氷粒子は、柱状・板状・雲粒付き結晶・雪片・霰・雹等、多種多様であり、その成因を雲内部にまで遡って知ることは容易でないが、学術的には極めて価値あるテーマである。本研究は、精緻な雲・降水粒子特性を再現できる雲微物理素過程追跡スキームを用いた数値シミュレーションにより、冬季季節風下の筋状雲・地形性降雪雲・日本海寒帯気団収束帯に付随して生じる降雪雲や低気圧にともなう降雪雲等で生成される降雪粒子を再現する。その結果をもとに、降雪粒子の質量や数を雲微物理素過程別に分類・定量化し、それら降雪形成メカニズムを雲微物理学的視点から解き明かす。
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研究実績の概要 |
【モデル改良と降水メカニズム解明】 降雪粒子の雲粒捕捉成長寄与率に応じて粒子の落下速度が変化するよう素過程追跡スキームに改良を加え、同じ質量でも雲粒捕捉成長の寄与が大きい粒子は落下速度が大きくなるようにした。この改良が、降雪量や降雪粒子特性分布の再現性にどのように作用するかに関する検討に着手した。冬季季節風時の富山県立山連峰や北海道夕張山地周辺での降雪事例を対象に数値シミュレーションを実施し、海岸からの距離や山岳地形によって、降雪粒子の特徴がどのように変化するかを調べた。シミュレーション結果によると、海岸から内陸に向かうにつれて雲粒捕捉成長の寄与が低下しており、過去に行われた観測研究と整合的な傾向を示した。また、山岳の風上側の降雪に対しては、比較的高い温度域での昇華成長、風下側の降雪に対しては、比較的低い温度域での昇華成長の寄与が大きくなる傾向がみとめられた。冬季季節風下の夕張山地の風上側(夕張市)と風下側(富良野市)で新たに実施した降雪粒子観測をもとに、このような地域性を示すシミュレーション結果を観測から裏付けることができるか、その可能性を探っている。 【降雪研究への波及】 科研他課題による降雪粒子観測に合わせて素過程追跡スキームを用いた数値シミュレーションを実施、出力データを提供することで、降水メカニズム解明に対するアプローチの一つとして研究コミュニティーに対する波及効果を生み出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
氷粒子の雲粒捕捉成長寄与率に応じて粒子の落下速度が変化するよう素過程追跡モデルに改良を加えた。山岳地形によって生じる降雪形成過程の地域差について、数値シミュレーションをもとに検討した。
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今後の研究の推進方策 |
素過程追跡スキームを用いた降雪シミュレーションの結果とともに観測データを用いて降水形成機構解明を進め、論文として取りまとめる。
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