研究課題/領域番号 |
22K03737
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
辻本 彰 島根大学, 学術研究院教育学系, 講師 (60570554)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | メイオベントス / 汽水湖 / 中海 / 底生有孔虫 / 汽水域 / 有孔虫 / 地球温暖化 |
研究開始時の研究の概要 |
日本を代表する汽水湖である中海は境水道を通して日本海とつながっているが,本来汽水域に生息しない高塩分嗜好性のメイオベントス(小型底生生物)が中層水深から多産することがあり,日本海水の流入の影響による分散の可能性が示唆される.本研究では,将来の地球温暖化などの気候変動によって汽水湖が受ける影響を評価するため,高塩分嗜好性メイオベントスの湖内への分散過程やその歴史的変遷を明らかにする.
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研究実績の概要 |
境水道周辺に分布していると推定される高塩分嗜好性の底生有孔虫が,中海湖心付近の中層水深から産出することがある.その分散過程を明らかにするため,①プランクトンネットを用いた中海湖内浮遊粒子の捕集,②2021年8月に美保湾~中海で採取された表層堆積物試料を用いた有孔虫群集解析,の2つのテーマを中心に研究を行った. ①のテーマについて,2022年の6月,7月,9月,10月,2023年の1月に野外調査を行った.各調査月において,中海湖心付近から深度別に一定時間プランクトンネットの水平曳きを行い,始点と終点では水質測定を行った.9月以降については,水平曳きに加え定点で鉛直曳きを行った.10月,1月調査では,中海下層から中層水深まで等間隔で浮遊粒子の捕集を行うことができた.下層水深と中層水深とでは捕集された粒子の状態が異なっており,下層水深では粒子量が多くなっていた.また,プランクトン生物に加え,底生有孔虫個体が捕集されていることが確認された. ②のテーマについて,境水道を除く中海本体について生体有孔虫群集の分析を行った.境水道を除く中海本体には,主にAmmonia “beccarii”,Trochammina hadai,Saccammina sp.の3種が優占していた.Trochammina hadaiは中海広域に分布していたが,湖心部付近に多産した.Ammonia “beccarii”は中海南西部や飯梨川河口付近,米子湾に多く見られ,Ammonia “beccarii”とTrochammina hadaiには明瞭な分布境界が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プランクトンネットを用いた深度別粒子捕集方法の確立に時間を要したため,その詳細な解析を実施することができなかったことから,やや遅れていると判断した.しかし,年度後半には目的水深で粒子を捕集する方法がほぼ確立され,底生有孔虫個体の存在も確認できたことから,次年度以降の研究の進展が期待される.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究で,プランクトンネットを用いた深度別の浮遊粒子捕集方法についてはほぼ確立されたので,引き続き継続的に野外調査を行い,中海湖内を浮遊する底生有孔虫の特徴を明らかにする.また,境水道~美保湾を含む表層堆積物試料の有孔虫群集解析を行い,底生有孔虫の分布域を詳細に調査することで,その起源を明らかにする. 中海湖心でのセジメントトラップアーカイブ試料を用いて,気象条件と捕集粒子との関係を明らかにする.
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