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年縞ラミナを用いた超巨大地震(17世紀型)の発生時期の特定と再来間隔の見積もり

研究課題

研究課題/領域番号 22K03744
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分17030:地球人間圏科学関連
研究機関ふじのくに地球環境史ミュージアム

研究代表者

七山 太  ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 客員研究員 (20357685)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード超巨大地震(17世紀型) / 海溝型地震 / 津波堆積物 / 千島海溝 / バリアー砂堆 / 年縞ラミナ / 500年間隔地震 / 地震隆起
研究開始時の研究の概要

釧路市春採湖の湖底堆積物には,年縞堆積物と津波堆積物が共存する上に,広域テフラも数多く挟在することから,地震津波の発生年代を年縞ラミナを用いて高精度に決定できる可能性を秘めている.特に17世紀,12-13世紀,8-10世紀に発生したと推定されている地震津波は地殻変動を伴うことから千島海溝で発生した超巨大地震(17世紀型)(Mw8.8~)が起源と推定されており,その正確な発生年代や再来周期の確定は急務である.

研究実績の概要

千島海溝を形成するプレート沈み込み帯やその周辺では,周期的にマグニチュード8クラスのプレート間巨大地震やM9クラスの連動型超巨大地震が周期的に発生してきたことが知られている.本研究では,北海道東部の太平洋沿岸に面する海跡湖の一つである春採湖において堆積物コアを採取し,過去の地震津波によって本地域の海跡湖の自然環境がどのような影響を受けたのか,について検討を行っている.堆積物コアは主に年縞を伴う珪藻質シルト層で構成されており,4層の完新世テフラと3層の海成イベント砂層(=津波堆積物)の挟在が確認された.さらに先行研究との対比により,これらは下位から,12-13世紀に発生したGTS2,17世紀に発生したGTS1ならびに1843年十勝沖地震(天保地震)の津波堆積物と判断された.特にGTS2とGTS1は,地震調査研究推進本部により超巨大地震(17世紀型)によって発生した津波堆積物であったと推定されており,その層位付近では大規模な地形改変を伴うことが知られてきた.
これまでの堆積物コアの珪藻分析の結果,GTS2の堆積後では,優先している海水種が上位に向かうにつれ徐々に減少することが判明した.この変化は,津波の侵食作用によって千代ノ浦のバリアー砂堆が一時的に消失し,その後,徐々に砂堆が回復したことを暗示している.GTS1の堆積前には淡水種の産出割合が徐々に大きくなるが,GTS1堆積後では淡水種が優先することが判明した.GTS1堆積後の淡水化は,このときの地震津波によってバリアー砂堆の隆起が起こっていたことを示唆している.以上のことから,同じ千島海溝で発生した超巨大地震であっても,その時に起こる環境変化は一様ではないと考えている.一方,1843年十勝沖地震のマグニチュードはMw8.2と推定されており,この規模の地震津波では大規模な地形改変を伴わないことが明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までところ,共同研究者の献身的な協力もあって,研究は順調に進行していると考えている.また,この科研費に関わる研究成果発表やアウトリーチも,予定通り実施できていると考えている.

今後の研究の推進方策

春採湖コアの解析については,2年後の論文化に向けて研究成果の取りまとめ作業を進めている.一方,超巨大地震(17世紀型)の発生時には,オホーツク海側に分布する野付半島と風蓮湖の分岐砂嘴の形状が大きく変化したことが知られており,現在,地形解析を進めている.また,過去に春採湖で採取したコア試料を用いて,12-13世紀に発生したGTS2や17世紀に発生したGTS 1よりも古い津波堆積物でも同様の環境変化が認められないかについて,検討を進めている.但し,現下の物価の急激な高騰によって,当初予定していた旅費や消耗品の購入費用の使用も難しくなってきているが,残り2年間も研究予算内での最大限の成果をあげることを目指したいと考えている.

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (21件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] 北海道東部,春採湖の花粉分析による後氷期以降の古植生変遷に関する予察的研究2024

    • 著者名/発表者名
      酒井恵祐・中西利典・七山 太・藤木利之・大串健一
    • 雑誌名

      Laguna

      巻: 31 ページ: 1-13

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] [表紙写真]標津町古多糠の橋上から望む忠類川上流域と知床第四紀火山群2024

    • 著者名/発表者名
      七山 太
    • 雑誌名

      GSJ地質ニュース

      巻: 13 (4)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 武蔵野台地(山の手)の地質断面とそこから読み解ける地形発達史―世田谷区,等々力渓谷でのジオ散歩のススメ―2023

    • 著者名/発表者名
      七山 太・重野聖之・石井正之
    • 雑誌名

      GSJ 地質ニュース

      巻: 12 ページ: 336-349

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Radiocarbon ages and tsunami deposits in laminated mud layers from the Lake Harutori, Pacific coast of Hokkaido, Northeast Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Nakanishi, T., Nanayama, F., Kondo, Y., Yamada, K., Sakai, K., Yamaguchi, T., Shigeno, K., Katsuki, K., Oda, H., Furukawa, R., Hong, W.
    • 雑誌名

      Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section B: Beam Interactions with Materials and Atoms

      巻: 538 ページ: 173-178

    • DOI

      10.1016/j.nimb.2023.02.015

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] [表紙写真]航空機から見た北海道東部,白糠町の石炭岬と庶路川東方の浜堤列平野2023

    • 著者名/発表者名
      七山 太
    • 雑誌名

      GSJ地質ニュース

      巻: 12 (4)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] [表紙写真]オホーツクスカイタワーから望む紋別市街地,紋別港とオホーツク海2023

    • 著者名/発表者名
      七山 太
    • 雑誌名

      GSJ地質ニュース

      巻: 12 (8)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 富士川河口断層帯と雲海に浮かぶ黒富士[表紙写真]2023

    • 著者名/発表者名
      七山 太
    • 雑誌名

      GSJ地質ニュース

      巻: 12 ページ: 0-0

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 静岡県最南端,御前崎の岬先端から見た駿河湾と富士火山[表紙写真]2023

    • 著者名/発表者名
      七山 太
    • 雑誌名

      GSJ地質ニュース

      巻: 12 ページ: 0-0

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 浅海底に噴出した後期白亜紀の溶岩である根室車石とその沖合のユルリ島の海成段丘[表紙写真]2022

    • 著者名/発表者名
      七山 太
    • 雑誌名

      GSJ地質ニュース

      巻: 11 ページ: 1-1

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 静岡市三保松原付近における海岸侵食の現状[表紙写真]2022

    • 著者名/発表者名
      七山 太
    • 雑誌名

      GSJ地質ニュース

      巻: 11 ページ: 0-0

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 珪藻分析を用いた北海道釧路市の春採湖の近現代の津波にかかわる湖水環境の復元2024

    • 著者名/発表者名
      松野佑香・香月興太・七山 太・中西利典・深津恵太・酒井恵祐・福與直人・小田啓邦
    • 学会等名
      汽水域合同研究発表
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] [HQR03-P11] 北海道釧路市春採湖における近現代の地震と珪藻分析による古環境の復元2023

    • 著者名/発表者名
      松野佑香・香月興太・七山 太・中西利典・深津恵太・酒井恵祐・福與直人・小田啓邦
    • 学会等名
      JpGU 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] [HQR03-14] 釧路市春採湖から採取された年縞堆積物コアの解析計画:1次的な研究成果と今後の展望2023

    • 著者名/発表者名
      七山 太・香月興太・松野佑香・中西利典・福與直人・酒井恵祐・深津恵太・石井正之・重野聖之・大串健一・古川竜太・小田啓邦
    • 学会等名
      JpGU 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] [HQR03-15] 花粉分析に基づく北海道春採湖における過去8,500年間の植生変遷2023

    • 著者名/発表者名
      酒井恵祐・中西利典・藤木利之・七山 太・大串 健一
    • 学会等名
      JpGU 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] [MZZ42-05] 釧路市春採湖のコアリング調査にあわせた研究および普及・教育の企画と実践2023

    • 著者名/発表者名
      重野聖之・石井正之・七山 太・石川孝織
    • 学会等名
      JpGU 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 北海道春採湖における過去9,500年間の高時間分解能に基づく古植生復元2023

    • 著者名/発表者名
      酒井恵祐・中西利典・藤木利之・七山 太・大串健一
    • 学会等名
      第四紀学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 北海道釧路市春採湖の近現代の津波と古環境2023

    • 著者名/発表者名
      松野佑香・香月興太・七山太・中西利典・深津恵太・酒井恵祐・福與直人・小田啓邦
    • 学会等名
      汽水域研究発表会(島根大学)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 北海道釧路市春採湖における縄文海進期の植生変化2023

    • 著者名/発表者名
      酒井恵祐・中西利典・藤木利之・七山 太・大串健一
    • 学会等名
      国際火山噴火史研究集会EHAI 2022-2(福岡大学)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 北海道東部,春採湖湖底堆積物の花粉分析による縄文海進期の植生変遷についての予察的研究2022

    • 著者名/発表者名
      酒井恵祐・中西利典・藤木利之・七山 太・大串健一
    • 学会等名
      JpGU 2022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 北海道東部,春採湖で得られた堆積物を用いた縄文海進期の花粉分析2022

    • 著者名/発表者名
      酒井恵祐・中西利典・藤木利之・七山 太・大串健一
    • 学会等名
      日本第四紀学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 北海道釧路市の春採湖で見られる近現代の津波堆積物と珪藻2022

    • 著者名/発表者名
      松野佑香・香月興太・七山太・中西利典・深津恵太・酒井恵祐・福與直人・小田啓邦
    • 学会等名
      汽水域研究会2022年(第14回)佐賀大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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