研究課題/領域番号 |
22K03747
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 株式会社雪研スノーイーターズ(研究室) |
研究代表者 |
西村 浩一 株式会社雪研スノーイーターズ(研究室), 雪研スノーイーターズ(研究室), 研究室室長 (10180639)
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研究分担者 |
齋藤 佳彦 株式会社雪研スノーイーターズ(研究室), 雪研スノーイーターズ(研究室), 主任研究員(兼 研究開発部部長) (40601042)
安達 聖 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主任専門研究員 (80719146)
田邊 章洋 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 契約研究員 (90830448)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 雪崩 / スラブ / MPM |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、猛吹雪の発生のもとで成長するスラブ(吹きだまり)の構造とその力学的特性を現場観測とX線μCT解析を併用して国際的にも初めて定量化するとともに、MPM(Material Point Method)と雪の特性に基づいて改良を加えたカムクレイモデルを用いて、これまで切り離して議論されてきた雪崩発生から流動、停止に至るそれぞれのプロセスを統一して表現する雪崩の汎用モデルを開発する。
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研究実績の概要 |
猛吹雪のもとで発生・成長するスラブ(吹きだまり)の力学特性を明らかにするため、前年度と同様に北海道のニセコモイワスキー場の尾根上で、2024年1月から3月にかけてそれぞれ数日間にわたり3回、密度、硬度、雪質、雪温などの積雪断面観測を集中的に実施した。またこの際に形成された吹きだまりの積雪サンプルを表面から連続的に採取し、積雪内部の空隙をドデカンで充填したうえで冷凍保存し、防災科学技術研究所の新庄雪氷環境実験所に輸送した。そして当研究所のX線μCT解析装置を用いることで積雪の微細な3次元構造を非破壊で計測した。さらに今年度は上記に加えて吹雪を自動で計測するスノーパーティクルカウンター(SPC)を設置して、吹雪フラックスや雪粒子の粒径分布の時間変動を1秒ごとに計測し、積雪構造の変化との関連について風速のデータとともに詳細な比較検討が実施された。 また研究代表者の西村が2023年9月から3か月間にわたり、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)に招聘教授として滞在中に、かつてEPFLに所属し現在はスイス連邦工科大学チューリッヒ校に異動したGaume教授と数回にわたって意見を交換し、彼らのグループにより開発された雪崩の発生から運動、停止に至るすべてのプロセスを記述可能なMaterial Point Method (MPM)の手法を、共同で運用およびさらなる改良に向けて緊密に連携して進めていくことを確認した。また国内でも研究分担者により独自にMPMのコードの開発が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の実績を踏まえ、スラブが形成される尾根上での猛吹雪下での観測および積雪のサンプリングから冷凍保存、さらには新庄の研究所へ輸送という一連のプロセスを3回に亘り実施することで、手段が確立された。また新たに導入したスノーパーティクルカウンター(SPC)による吹雪のフラックスと粒径分布の時間変動とX線CTの解析による3次元構造の解析の結果からは、スラブの雪質の脆弱性をもたらす要因に関わる知見が得られるなど計画された研究内容は予定通り完遂された。 またスイスでのGaume教授との議論の結果、彼らが開発したMPMモデルの導入と共同研究による応用と改良という研究プロセスの道筋が確立されたほか、国内でも独自のコードを用いたMPMの計算手法の確立も開始された。
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今後の研究の推進方策 |
過去2年度にわたって実施しそのプロセスがほぼ確立した、猛吹雪下での観測および積雪のサンプリングから冷凍保存、さらには新庄の研究所への輸送、X線CTの解析による3次元構造の解析の手法を次年度も実施することで、雪崩発生につながる特徴的な構造の抽出と定量化に向けた作業を継続して進める。前年度に有益な知見が得られたスノーパーティクルカウンター(SPC)による計測も、より長期間にわたって実施する。さらにはGaume教授およびその研究グループとの情報・意見交換、および独自の手法の開発に基づき、研本研究の主たる目的であるMPMの計算手法の確立に向けて一層の研究の進展させる予定である。
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