研究課題/領域番号 |
22K03750
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
星出 隆志 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (20647565)
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研究分担者 |
福山 繭子 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (40630687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 岩石マグマ相互作用 / オイコクリスト / 単斜輝石 / 多相固体包有物 / トロクトライト / かんらん石斑れい岩 / 海洋地殻 / マントル / マントル-メルト相互作用 / クロミタイト / 中央海嶺 / 層状斑れい岩 / 中央海嶺玄武岩 / メルトインクルージョン / 岩石組織 |
研究開始時の研究の概要 |
近年実施された東太平洋中央海嶺ヘス・ディープ海盆での海底掘削で得られた下部地殻由来の斑れい岩から、中央海嶺玄武岩マグマに斑晶として含まれていない高Mg#直方輝石が見いだされ、中央海嶺玄武岩マグマの起源について見直しを迫られている。本研究では、ヘス・ディープ海盆U1415海洋地殻下部斑れい岩に見られるクロムスピネル中のメルト包有物の岩石学的・地球化学的特徴を詳細に明らかにすることによって、直方輝石を晶出させたマグマの化学組成と起源を明らかにする。同時に、斑れい岩の岩石組織と化学的特徴の相関から、直方輝石を晶出させたマグマから下部地殻斑れい岩が形成されるプロセスを明らかにする。
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研究実績の概要 |
前年度までの成果を論文にまとめるために、改めてヘスディープ海盆下部地殻斑れい岩(トロクトライトとかんらん石斑れい岩)の薄片観察を実施した結果、スピネル含有かんらん石斑れい岩に見られるかんらん石オイコクリストや単斜輝石オイコクリストの特徴が、Yang et al. (2019)で行われたトロクトライトとMORBメルトの反応実験で形成された組織と非常に似ていることが判明した。また、ヘスディープのかんらん石斑れい岩中の単斜輝石のTiO2-Mg#組成図における組成トレンドも、同反応実験で生じた単斜輝石のものと共通した特徴(TiO2の幅広い変動に対して、Mg#はほとんど変化しない)を有することもわかった。このことは、ヘスディープのスピネル含有かんらん石斑れい岩が岩石とマグマの相互作用で形成されたことを示唆している。
前年度までに、スピネルに含まれる2種の多相固体包有物の化学的・岩石記載学的特徴から、同斑れい岩形成には2つの異なる化学組成のマグマ(かんらん石玄武岩質マグマと高Mg安山岩質マグマ)の関与があったことが推定されていた。しかし、異なる2つのマグマからどのようなプロセスにより同斑れい岩が形成されたのかについては明確ではなかった。上述した事実を踏まえると、ヘスディープでは下部地殻においてトロクトライトと高Mg安山岩質マグマの反応が起こり、スピネル含有かんらん石斑れい岩が形成した可能性を指摘できる。
上記の内容について、2024年4月のEGU General Assemblyで発表した。現在学術誌への投稿準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの成果を論文としてまとめる過程で、下部地殻斑れい岩の岩石組織を注意深く観察し直したところ、斑れい岩とマグマの相互作用を示唆する岩石組織の特徴(オイコクリスト)に気が付いた。これにより、オイコクリストを呈するものと呈さないものを区別して鉱物の主要元素化学組成分析をし直す必要が出てきたため、2023年度実施予定の微量元素分析を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ヘスディープ斑れい岩についての執筆中の論文を投稿する。斑れい岩と多相固体包有物のうち、前年度までに主要元素分析を実施した粒子について微量元素分析を実施し、その結果について国内外の学会で発表する。
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